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アディダスが選んだ量産向け高速3Dプリンタ、日本市場でも着々と受注拡大スマート工場EXPO2019(2/2 ページ)

米国の3DプリンタベンチャーのCarbonは、「第3回スマート工場EXPO」に出展し、引き上げ式の光硬化樹脂型の新方式3Dプリンティング技術をアピール。日本市場でも本格的に導入が広がりつつあることを訴えた。

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大手コーヒーチェーン向け設備で使用

 このアディダスの事例の他にも、海外ではCarbonの3Dプリンタを使った製品の量産が大きく拡大している。例えば、米国のフードマシンメーカーのVitamixでは、ミキサーのある消耗品の生産を射出成形機からCarbonの3Dプリンタに切り替えたという。

 従来の射出成形機による生産では、消耗品は6つの部品に分かれており、これらを組み立てる工程が発生したが、3Dプリンタによる一体成形によりこれらを低減。さらに、組み立てを想定した設計を一体成形を想定した設計に切り替えることで、品質や精度なども含めた総合的な効率を高めることができたという。同部品を採用するVitamixの機器は世界的な大手コーヒーチェーンに採用されており、今後Carbon製消耗品を採用した設備に切り替わっていく予定だという。

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左が従来の射出成形機部品を組み立てていたもの。中央が従来品をそのまま一体成型にしたもの。右は3Dプリンタ用に最適化設計したもの。シンプルな形状でも同等の機能を発揮するという(クリックで拡大)

日本でも量産用3Dプリンタとして本格的に採用が拡大

 Carbonは日本でも既に2017年夏頃に日本法人を設置。JSRが代理店として全面支援する形で展開を本格化させており、一方でCarbonのプロダクションパートナーとしてアトラス(関東)とクリモト(関西)が入り、造形や製造を受託できる体制をとっている。

 JSR Carbon事業推進室主査の銅木克次氏は「2018年の取り組みの中では、日本企業で導入が進んだことが大きなトピックだ。現状では国内で12社、20台弱が稼働している。描いた通りに量産用途で使用されるケースも増えている」と手応えについて語っている。

 導入企業の中には、コニカミノルタ、アルプスアルパイン(旧アルプス電気)、EIZO、サントリーコミュニケーションズ、ニコン、JKiCなどがある。さらに日特エンジニアリングでは試作用途ではなく、製品の量産用途で既に使用されているという。

 さらに量産用途での活用を進めるために、次世代機ではより大きな造形サイズにも対応する考えも示す。現在の「M2 Printer」は造形サイズは189×118×326mmとなっているが「次世代機は高さの326mmはほぼ同じで底面積を5倍にする計画がある」(銅木氏)としている。

 銅木氏は「Carbonは現在まで11カ国に展開しているが、日本企業はその中でも売上高でも上位に位置し、重要視している市場だ。例えば、現在でもアディダスなどの大量の生産を行う場合には、特別対応を行っているが、今後、日本市場でも大規模に量産を行うケースがあれば、Carbonでは特別対応をする用意がある」と語る。

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「M2 Printer」の造形サイズ(189×118×326mm)。次世代機では造形サイズを底面積5倍に引き上げる方針だという(クリックで拡大)

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