ニュース
組み込み型相変化メモリ内蔵の車載マイコン、サンプル出荷を開始:車載半導体
STマイクロエレクトロニクスは、組み込み型相変化メモリ「ePCM」を内蔵した車載マイコンのサンプル出荷を開始した。AEC-Q100 Grade 0準拠のePCMを組み込んだ同マイコンは、高温下でもデータの安全性を確保する。
STマイクロエレクトロニクスは2018年12月10日、組み込み型相変化メモリ「ePCM(embedded Phase-Change Memory)」を内蔵した車載マイコンのサンプル出荷を開始した。
PCMは、素材であるGST合金(GeTe-Sb2Te3系合金)が急速な温度変化によって単結晶相と多結晶相に変化する材料特性を利用した不揮発性メモリだ。Flashメモリと違い、1ビット単位で書き変えられるPCMは、ソフトウェアによるデータ記録処理を簡略化し、高温でもデータを保存できる。
PCMを組み込んだePCMは、動作温度が最高165℃で、車載電子部品の規格「AEC-Q100 Grade 0(使用温度範囲−40〜150℃)」に準拠。リフローはんだ工程のような高温環境下や放射線下においても、ファームウェアやデータの安全性を確保する。今回、このePCMを28nm FD-SOIプロセスに組み込み、高性能で低消費電力の車載マイコンを開発することに成功した。
主な用途として、パワートレインシステム、セキュアゲートウェイ、ADAS(先進運転支援システム)、車両電動化アプリケーションなどを想定する。同社は、2020年までに、ePCM搭載マイコンの車載アプリケーション適合試験と総合的な信頼性評価を完了する予定だ。
関連記事
- 自動車が必要とする1TBのフラッシュメモリの実現へ、従来比2.5倍の高速処理も
ウエスタンデジタルは2018年10月18日、車載用NAND型フラッシュメモリの新製品「iNAND AT EU312 UFS EFD」を発表した。 - 離れた位置からデータの更新が可能なバッテリーレス電子ペーパータグ
富士通セミコンダクターは、E Ink Holdingsと共同で、UHF帯RFIDを利用し、電子ペーパーディスプレイの表示をバッテリーレスで変更できる技術を開発した。高速書き込み、低消費電力の不揮発性メモリFRAMを組み込んでいる。 - 小面積低価格のFPGAを実現する回路技術、標準CMOSで実現
東芝が不揮発メモリの技術を応用することで、より小面積かつ低価格にFPGAを製造できる回路技術を開発した。 - ノーマリーオフ動作で「消費電力世界最小」のウェアラブル生体センサー実現
ロームは2014年11月、神戸大学と共同でノーマリーオフ動作のウェアラブル生体センサーを開発し「世界最小の消費電力を達成した」(ローム)と発表した。同センサーは、心拍を6μAの消費電流で検知できる他、通信機能も備える。 - 「世界初」で「世界最高性能」、ルネサスが28nm車載マイコンをサンプル出荷
ルネサス エレクトロニクスは、28nmプロセスを採用したフラッシュメモリ内蔵車載マイコン「RH850/E2xシリーズ」のサンプル出荷を開始した。28nmプロセス採用のフラッシュメモリ内蔵マイコンのサンプル出荷は「世界初」(ルネサス)、フラッシュメモリ内蔵車載マイコンの処理性能としても「世界最高」(同社)だという。 - 車載用モーターの制御に伴うCPU負荷を削減、専用回路を内蔵したマイコンで
ルネサス エレクトロニクスは、電動車のモーター制御で必須となる演算の処理時間を従来比10分の1に短縮する回路技術を開発した。マイコンに内蔵した専用回路でこの演算処理を行うことにより、CPUでソフトウェア実行する場合と比べて演算処理時間を10分の1に短縮する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.