東芝は2016年6月14日、不揮発メモリの技術を応用することでより小面積かつ低価格にFPGAを製造できる回路技術を開発したと発表した。詳細は「VLSI技術シンポジウム2016」(ハワイ、2016年6月13〜16日)にて発表し、2017年以降の実用化を目指しての研究を進める。
開発した新技術では、FPGAを構成するロジック回路のスイッチを、不揮発性ワンタイムメモリ素子を応用した高密度スイッチアレイに代替することで、ロジック回路とメモリセルを一体化する。また、アンチヒューズ素子とロジック回路を劣化させることなく接続する回路も開発し、チップ面積増を招く一因となっている高耐圧トランジスタの利用を従来比で約半分まで抑えた。
これらの回路技術により、メモリとロジック回路の集積化を高め、低価格な不揮発性FPGAを実現する。同社では開発した回路技術を用いたFPGAについて機能ごとの面積を見積もったところ面積も従来比約半分まで縮小するすることができたとしている。技術そのものは標準CMOSで実現されておりカスタムLSIへの集積が可能であるため、同社では自社カスタムLSI向け回路群の1つとしての実用化を目指す。
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