製造業のデジタル変革は第2幕へ、「モノ+サービス」ビジネスをどう始動させるか:MONOist 2019年展望(3/3 ページ)
製造業のデジタル変革への動きは2018年も大きく進展した。しかし、それらは主に工場領域での動きが中心だった。ただ、工場だけで考えていては、デジタル化の価値は限定的なものにとどまる。2019年は製造業のデジタルサービス展開がいよいよ本格化する。
プラットフォーマーとなる道とそうでない道
デジタルサービスの展開においては、一定領域におけるプラットフォームとなることが重要だとされている。デジタルの価値は複製が無限に劣化なしで行えるということであり、プラットフォームが本当に必要なものであれば初期投資は必要であるもののその後の大きな投資なしに、収益を得続けることができるからである。
こうした新たなプラットフォームビジネスで日本における成功例とされているのが、コマツなどが主導する建設IoT基盤「LANDLOG」である。「LANDLOG」の運営会社であるランドログは2017年10月、コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社が出資して立ち上げた企業だ。建設生産に関わるデータを「コト化」し、アプリケーションに提供するプラットフォームであるLANDLOGを広く展開するために、出資企業であるコマツの建機にとどまらないオープンな事業を推進している。LANDLOG Partner制度の構築など、プラットフォーム化を進める他、これらの活用で既に建設現場にさまざまな価値を提供している。
ただ、こうした大きな価値を提供するプラットフォーム構築には大きな投資が必要になり、どの企業にでもできるものではない。そこでもっと小さな業界や業種に限定されたプラットフォームであるなど「協力して枠組み作りをすれば価値を生む」という領域を見つけるということが重要になる。2019年はこうした「小さなプラットフォーム」が数多く生まれると見ている。これらが最終的に結び付くことで、最終的に経済産業省などが描く「Connected Industries」の世界が生まれる。
過渡期のビジネスチャンスをつかむ
ただこうしたプラットフォーム構築などの新たなビジネスモデル構築は、新たなチャレンジがある以上、根本的にはリスクが存在する。さらにデジタルサービスを主業務で大きく始めるためには、デジタル基盤面、体制面、人材面で大規模な投資が必要になる。そこで重要になるのが「スモールスタートからのスケーリング」という考え方である。
スマートファクトリーなどでも同様だが、日本の製造業ではトップダウンによる大規模な戦略投資はあまりうまくいかないケースが多い。そのためボトムアップ型で大きな変革へとつなぐという取り組みが重要になる。リスクを低減する意味でのスモールスタートで実証を行い、それらで成果が出た「小さな成功」をうまく他の領域に波及させたり、つないだりしていくということが重要だ。
その意味ではあえてプラットフォーム構築側に回らずにプラットフォームを活用してビジネスを伸ばすという手もある。現在は、過渡期であり、プラットフォームやデータ活用モデルなどを作る側にも、使う側にも回ることができる。自社の協調領域と競争領域を見定めて、どちらに回るかを考えることが重要である。
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