デンソーの「新領域プロセッサ」が開発完了、2019年春から試作品での実証試験へ:車載半導体
デンソーの完全子会社で半導体IPを設計するエヌエスアイテクス(NSITEXE)は2018年12月13日、「第11回オートモーティブワールド」(2019年1月16〜18日、東京ビッグサイト)において、自動運転などに向けた半導体IP「Data Flow Processor(DFP)」のテストチップとテストボードを展示すると発表した。
デンソーの完全子会社で半導体IPを設計するエヌエスアイテクス(NSITEXE)は2018年12月13日、「第11回オートモーティブワールド」(2019年1月16〜18日、東京ビッグサイト)において、自動運転などに向けた半導体IP「Data Flow Processor(DFP)」のテストチップとテストボードを展示すると発表した。
DFPは、複数の処理を柔軟に組み立てて並列動作が可能な「新領域プロセッサ」で、複雑な処理が得意だが直列処理で時間のかかるCPUや、並列大量処理を得意とするものの複雑処理が苦手なGPUと異なる特性を持つ。この特性は、自動運転車が緊急時に最もリスクの小さい行動をとっさに判断するような、複数の条件を同時に処理する場合に活用する。
エヌエスアイテクスは2017年9月に設立して以降、DFPの開発に取り組んできた。デンソーはDFPの開発加速のため、2018年9月に北米のスタートアップ企業シンクアイ(ThinCI)に追加出資し連携を深めた。シンクアイは、DFPにおける計算領域を最適化し、効率よく同時処理を行う技術を持つ。
社内の体制強化に加えて、大日本印刷グループでLSI開発のサポートを行うDNPエル・エス・アイ・デザインを始めとする協力会社と連携し、DFPの性能を実証するSoC(System on Chip)や、テストボードの開発に取り組んだ。このほど、開発を完了し、試験製造を開始した。テストチップやテストボードを用いたDFPの実証試験を2019年春から開始する。
今回開発したSoCには、DFPに加えて、Arm Cortex-R52やWave Computing MIPS I6500といったCPUコアや、LPDDR4、PCIeといった複数のインタフェースを搭載する。車載以外にもさまざまな組み込みシステムのアプリケーションでDFPの性能を実証していく。開発パートナー向けにSDKやドライバ、ライブラリも提供する予定だ。
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