介護施設職員の配薬業務を軽減する配薬支援装置を開発:医療機器ニュース
東北大学と石神製作所は、介護施設向けの配薬支援装置「HSS-10」を開発した。飲み忘れ防止のランプ点灯などの工夫が施され、職員が入所者の薬を管理し、配薬する時間を大幅に軽減できる。
東北大学は2018年11月28日、同大学大学院医学系研究科 助教の鈴木亮二氏らの研究グループが石神製作所と共同で、介護施設向けの配薬支援装置「HSS-10」を開発したと発表した。同年12月3日より、販売代理店を通して販売を開始した。施設スタッフの少ない認知症対応型共同生活介護施設で、配薬業務を軽減する。
この装置は、ロッカー型でグループホームの職員が管理しやすい場所に設置できる。サイズは900×400×770mm、重量約50kg。1回の服薬ごとにまとめられた薬剤を、薬剤ドラムに約3週間分巻きつけて装置にセットする。薬剤ドラムは10本装備。一包化できない漢方薬や目薬などは、脇の薬剤ボックスに収納する。
入所者氏名、服薬時間を装置前面の操作パネルで設定でき、服薬時間になるとオルゴールが鳴り、操作パネル上の服薬が必要な入所者を示すボタンが橙色に点灯。扉を開けると、服薬のある入所者の1回分の一包化薬剤が薬剤ドラムから送り出される。
漢方薬の場合には、薬剤ボックスのLEDが点灯し、飲み忘れを防ぐ。30分たっても薬が取り出されていないときには再びオルゴールが鳴り、操作パネルのボタンが赤色に変わって注意喚起する。入所者が薬を飲んだ後には操作パネルのボタンを押して緑色ランプを点灯させ、服薬したことを職員全員で確認できる。
HSS-10を導入することにより、職員の配薬業務が大幅に軽減され、配薬時間にかかっていた時間を入所者のケアに使えるようになる。
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