電動化と自動運転へ6800億円の創出、SUVやライトトラック重視も鮮明に:製造マネジメントニュース
General Motors(GM)は2018年11月26日、2020年末までに60億ドル(約6800億円)のフリーキャッシュフローを創出するため、事業変革を実施すると発表した。電気自動車や自動運転技術の開発に割り当てるリソースを今後2年で倍増させるため、生産体制の見直しや人員整理を進める。
General Motors(GM)は2018年11月26日、2020年末までに60億ドル(約6800億円)のフリーキャッシュフローを創出するため、事業変革を実施すると発表した。電気自動車や自動運転技術の開発に割り当てるリソースを今後2年で倍増させるため、生産体制の見直しや人員整理を進める。
60億ドルのフリーキャッシュフロー創出に向け、45億ドル(約5100億円)のコスト削減を実施する。製品開発においては、製品ポートフォリオ全体での部品共有化率の向上やバーチャルツールの活用による開発期間短縮、車両開発とパワートレイン開発の統合、グローバル製品開発拠点の圧縮などを計画している。
また、人員を15%削減する計画も発表した。意思決定の合理化のため、管理職も25%減らす。グローバルの労働力が今後に向けた適切なスキルセットを確保しつつ、さまざまなツールの利用により効率を高めるとしている。GMの従業員数はグローバルでおよそ18万人なので、2万7000人規模のリストラとなる。人員削減に関連して、30億〜38億ドル(約3400億〜4300億円)の費用を2018年第4四半期から2019年にかけて計上する。
製品ポートフォリオの最適化も進める。開発投資は電動車向けのアーキテクチャを優先するとともに、プラットフォームの集約も進める。今後10年間で、GMの世界販売台数の75%以上を5つのプラットフォームでカバーする。
GMは直近では、製品開発や生産面のリソースは人気の高いピックアップトラックやSUVに優先して投入してきた。車両のアーキテクチャの高効率化を進め、人気車種の生産工場に66億ドル(約7500億円)を投資した。こうした取り組みの一環で、2019年以降は北米の完成車工場3カ所と部品工場2カ所で生産を停止する。
各工場の生産品目をみると、セダンやコンパクトカーが目立つ。米国以外でも生産体制の見直しを進め、既に閉鎖が決まった韓国の完成車工場に加えて2019年末までに北米以外の2つの工場で操業を停める。GMの生産拠点は、生産停止を発表した5工場を含め、北米に18カ所、南米に6カ所、アジアなどその他の地域に18カ所ある。
工場名 | 生産品目 | 納入先 | |
---|---|---|---|
完成車工場 | Oshawa #1 | Chevrolet Impala, Cadillac XTS | - |
Oshawa #2 | Chevrolet Silverado, GMC Sierra | - | |
Detroit/Hamtramck | Chevrolet Volt, Buick LaCrosse, Chevrolet Impala, Cadillac CT6 | - | |
Lordstown | Chevrolet Cruze | - | |
部品工場 | Baltimore Operations | フルサイズトラック向けAT | 2500/3500シリーズのChevrolet Silverado, GMC Sierra |
Warren Transmission | 6速AT | Oshawa(Cadillac XTS, Chevrolet Impala)、Hamtramck(Chevrolet Impala, Malibu, Volt)、Spring Hill(GMC Acadia) | |
電動ドライブユニット | Detroit Hamtramck(Chevy Volt)、Fairfax Assembly(Chevy Malibu)、SGM China(Buick Lacrosse, Chevy Volt)、GM Korea(Chevy Malibu) | ||
(発表済み) | 韓国 群山 | Chevrolet Cruze, Holden Astra | - |
Volkswagen(VW)も、2016年に発表した2025年までの中期経営計画の中で、SUVを重視した製品戦略や、2万3000人の解雇を実施することを明らかにした。ドイツ国内の生産拠点を対象に“従来の分野”に携わる2万3000人を削減する。“将来的な分野”で9000人の雇用を生むとしている。大規模な早期退職によって2020年までに37億ユーロ(約4400億円)を確保する見通しだ。
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