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2050年に電動車100%へ、開発と調達、オープンイノベーションに手厚い支援自動車新時代戦略会議(1/2 ページ)

経済産業省は2018年7月24日、「自動車新時代戦略会議」の第2回を開催し、2050年までの長期目標に向けた基本方針と今後5年間の重点取り組みについて中間整理案をまとめた。

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2050年に新車販売に占める電動車の比率を100%に引き上げる。写真はトヨタ自動車の「プリウス」「プリウスPHV」(クリックして拡大)

 経済産業省は2018年7月24日、「自動車新時代戦略会議」の第2回を開催し、2050年までの長期目標に向けた基本方針と今後5年間の重点取り組みについて中間整理案をまとめた。

 2050年のゴールとするのは、日本車で世界最高水準の環境性能を実現し、1台当たりの温室効果ガスの排出を8割程度削減することだ。新車販売の100%を電動車にすれば、乗用車の温室効果ガスは9割程度削減できると試算している。海外の一部の国が採用している電動車の導入義務を日本でも課すのではなく、普及目標と整合が取れる水準の企業平均燃費の達成を促す考えだ。

 バスやトラックでも電動車の導入を促進する。環境性能を向上させるだけでなく、ICTを活用した運送効率向上など、利用する事業者が電動車の経済優位性を見出せる社会システムの確立を目指す。

 自動車の環境性能向上だけでなく、自動運転車やコネクテッドカー、MaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)といった“自動車の使い方のイノベーション”の他、電源や水素生成、燃料のゼロエミッション化にも取り組み、Well-to-Wheel(燃料の採掘、発電や燃料精製から車両走行まで)でのゼロエミッションを目指す方針だ。技術中立的に企業の投資を促していく。

電動化の先進国として


2030年に向けてEVとPHEVを急速に普及させる。写真はホンダの「クラリティ PHEV」(クリックして拡大)

 自動車新時代戦略会議は、日本は世界で最も電動化の進んだ国の1つと位置付ける。2017年の新車販売に占める電動車(※1)比率は、ハイブリッド車がけん引して31.6%だった。米国(電動化比率4.0%)やドイツ(同3.0%)、フランス(同4.8%)に大差をつけている。新興国も電動化比率は中国で3.0%、タイが2.7%、インドが0.03%と低い水準だ。

(※1)ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の4つ。

 2050年までの長期目標に向けたマイルストーンとして、2030年には電動車を含む「次世代自動車」(※2)の新車販売に占める比率を50〜70%に増やす。新車販売のうち、HVが30〜40%、EVとPHEVが20〜30%、FCVが3%、クリーンディーゼル車は5〜10%という内訳だ。2017年の新車販売のうち、EVは0.41%、PHEVは0.82%にとどまったことを考えると、2030年に向けてEVとPHEVを急速に普及させる方針だといえる。

(※2)電動車にクリーンディーゼル車が加わったもの。

電動化一辺倒ではなく、内燃機関のAICEも活躍


トヨタ自動車のハイブリッドシステム。モーターとインバーター、電池は電動車全般のコア技術に(クリックして拡大)

 電池をはじめとする電動化に関する技術力や産業、人材の厚みについて、日本は世界トップレベルにあるとしている。電動車のコア技術である電池やモーター、インバーターは電動パワートレインの種類を超えて共通するため、これまで培ってきた経験や技術力を最大限に活用して世界をリードすべきだとした。

 長期目標の実現に向け、まずは5年間で重点的に取り組む活動として「オープンイノベーションの促進」「グローバル課題解決のための国際協調」「社会システム確立」の3つを挙げた。

 「オープンイノベーションの促進」では、全固体電池や革新型蓄電池、燃料電池といった電動化技術、内燃機関の高効率化やバイオ燃料や代替燃料のオープンイノベーションを後押しする。既に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として取り組みが進んでいるテーマも多い。具体的には、全固体電池は、現在1kWhあたり3万円の電池パックコストを1万円まで下げる目標だ。革新型蓄電池では、2030年ごろまでにバッテリーの密度を現在の150Wh/kgから500Wh/kgまで高め、燃料電池セルはスタックの価格を2025年ごろまでに現在の4分の1に下げるなどの目標が立てられている。

 オープンイノベーションの実現のため、オープンな開発基盤の構築や、人材育成、サプライチェーンの基盤強化を推し進める。オープンな開発環境の構築に向けては、モデルベース開発を活用する。自動車メーカーや大手サプライヤーが参加する「モデルベース研究会」(※3)が中心となり、次世代自動車を含めてモデルベース開発を進められる共通基盤や、その基盤を活用する体制を2020年度までに構築する。

(※3)関連記事:「自動車業界全体でのモデルベース開発活用へ、「SURIAWASE2.0」を産官学で深化

 また、付加価値の高い領域にリソースをシフトするため、設計リスクのチェックやエンジンのチューニングなど工数の多い工程でAI(人工知能)を活用した効率化や高度化を目指す。これも2020年度までに、自動車業界とAI業界を含めた産学連携の体制をつくる。ここに自動車用内燃機関技術研究組合(AICE:Research Association of Automobile Internal Combustion Engines、アイス)(※4)も参加する。

(※4)関連記事:「熱効率50%の達成が目標、国内自動車メーカー8社がエンジン技術を共同開発

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