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ホンダの電動化戦略が本格始動、5人乗りセダンへのこだわりはどう生きるか電気自動車(1/2 ページ)

ホンダは、5人乗りセダンタイプの新型プラグインハイブリッド車(PHEV)「クラリティ PHEV」を発売する。クラリティ PHEVは、2016年3月に発売した燃料電池車(FCV)「クラリティ フューエルセル」と共通のプラットフォームを採用したクラリティシリーズの1つ。

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新型プラグインハイブリッド車(PHEV)「クラリティ PHEV」を発売(クリックして拡大)

 ホンダは2018年7月19日、東京都内で会見を開き、5人乗りセダンタイプの新型プラグインハイブリッド車(PHEV)「クラリティ PHEV」を日本で発売すると発表した。クラリティ PHEVは、2016年3月に発売した燃料電池車(FCV)「クラリティ フューエルセル」と共通のプラットフォームを採用したクラリティシリーズの1つ。

 2モーターのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD」を用いてプラグインハイブリッド化した。「アコード PHEV」に搭載したシステムをベースに改良を加えて、小型軽量化やトルク、出力の向上を実現した。モーターのみで走行するEV走行距離は、アコード PHEVの約3倍、トヨタ自動車の「プリウスPHV」の約1.7倍となる114.6km(※1)を達成。また、時速160kmまでEV走行が可能だ。「日常のほとんどを電気自動車(EV)として使うことができる。遠出はハイブリッド車(HV)として、充電しながら走行することも可能だ」(本田技術研究所 クラリティシリーズ開発責任者の清水潔氏)としている。

(※1)JC08モードでの測定値。WLTCモードでは101.0km

 発売日は同年7月20日で、リース販売だったアコード PHEVとは異なり、一般販売となる。日本では年間1000台の販売を計画している。税込みのメーカー希望小売価格は588万円。

セダンに収まる3種類の電動パワートレイン


写真左から本田技術研究所の清水潔氏と若城輝男氏。清水氏はクラリティシリーズの開発責任者で、若城氏はパワートレイン開発の責任者だ(クリックして拡大)

 クラリティシリーズは、プラットフォームと骨格は共通としながら、EVとFCV、PHEVを展開している。プラットフォームは、フレーム構造の工夫により重量のある電動パワートレインも効率的に保護する衝突安全性能を持たせている。また、駆動用バッテリーなどによる重量増を吸収するため、超高張力鋼板やアルミニウム、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)といった軽量化材料を骨格や外板に多用している。

 同シリーズは、ゼロエミッションで長距離を走行するのはFCV、同じくゼロエミッションで走行距離の長さにこだわらないならEV、日常の用途をEV走行でカバーしながら走行距離の不安を解決するのをPHEVと設定し、ユーザーが選択できるようにした。また、クラリティシリーズの主要販売地域である米国のZEV(Zero Emission Vehicle:無公害車)規制に対応するラインアップでもある。

 EVの「クラリティ エレクトリック」は北米専用モデルだが、シリーズ内でのEVとPHEVのすみ分けについて、「どうしてもエンジンをかけたくないという考えのユーザーがEVを選択する。PHEVはロングドライブでの安心感を提供する」と清水氏は説明した。

クラリティ PHEVの外観デザインはクラリティ フューエルセルと共通だ(クリックして拡大)

 同シリーズの開発では、大人5人が余裕を持って乗車できる居住空間と、ゴルフバッグを複数個積載できる荷室を確保しながら、ミドルサイズのセダンに3種類の電動パワートレインを収めることにこだわった。過去に発売したアコード PHEVでは、後部座席の後方に駆動用バッテリーを配置したため、十分な容量のトランクを確保できていなかったことが反省点になっているという。


エンジンルーム内に収められたプラグインハイブリッドシステム。バッテリーは床下に配置した(クリックして拡大)

 「仮にSUVであれば、電動車でもパッケージングは難しくなかっただろう。クラリティシリーズは、どれか1種類の電動パワートレインの専用プラットフォームにするのではなく、それぞれのパワートレインでバランスをとったプラットフォームを開発したいという狙いがあった。最大公約数的になる部分はあるが、クルマとしてぼやけたとは思っていない。5人乗りのセダンに電動パワートレインを収める中で学んだことは、他の車両タイプを電動化する時の『M・M思想』(※2)に生かしていく」(清水氏)

(※2)マン・マキシマム、メカ・ミニマム。人のためのスペースを最大に、メカニズムは最小にすることを意味する。

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