PLCのオープン化進める「PLCnext」、新コントローラーとアプリストアで普及本格化:FAニュース
ドイツの産業機器メーカーであるPHOENIX CONTACT(フエニックス・コンタクト)は、PLCnext Technololgy搭載の高性能コントローラー「RFC 4072 S」を発売する。合わせてこれらのコントローラー向けのアプリストア「PLCnext Store」をオープンすることを発表した。
ドイツの産業機器メーカーであるPHOENIX CONTACT(フエニックス・コンタクト)は2018年11月28日、PLCnext Technololgy搭載の高性能コントローラー「RFC 4072 S」を同年12月10日に発売することを発表した。合わせてこれらのコントローラー向けのアプリストア「PLCnext Store」をオープンすることを発表した。「PLCnext Store」はドイツでは2018年11月27日(現地時間)、日本では2019年中に運用を開始する計画だとしている。
PLCnext Technololgyとは
「PLCnext」はオープン制御プラットフォームの基礎を形成することを目指す取り組みだ。工場などでスマートファクトリー化が進む中、PLCそのものも、従来の独自のPLC言語などによる閉じた世界ではなく「つながる化」と「オープン化」を容易に実現できなければならない。これらを実現するためにオープンなコンピュータ言語を活用できる仕組みを目指している。従来のPLC用の言語と新たなコンピュータープログラム言語などを並行して使用できるような環境を実現する。
Visual Studio、Eclipse、MATLAB/Simulink、PC Worx Engineerなどの構築されたソフトウェアツールの活用に加え、IEC 61131-3およびC/C++とC#でのプログラミングコードの活用もできる。サードパーティーによる機能追加や、オープンソースコミュニティーによる開発など、オープンプラットフォームで制御領域の革新を進めている※)。
※)関連記事:PLCのAndroidを目指すフエニックス・コンタクト、「PLCnext」で目指す価値
2017年のハノーバーメッセでα版のハードウェアが発表され、SPS IPC Drives 2017でリリースされた。SPS IPC Drives 2018で新たな対応ハードウェアとして発表されたのが「RFC 4072 S」である。
新製品の「RFC 4072 S」は、PLCnextコントローラーとして、多言語プログラム間の同期リアルタイム実行やオープンソースソフトウェアの実行が可能。TPM(Trusted Platform Module)搭載によるセキュリティも実現している他、SIL3、PLeを達成するセーフティプログラムの冗長実行なども可能としてる。Intel Core i5 デュアルコアプロセッサを搭載し、PROFINET、PROFIsafe、OPC UAなどにも対応する。
課題解決アプリのためのオンラインストア「PLCnext Store」
合わせてPLCnextコントローラーで動作するアプリケーションパッケージ(App)の提供と利用ができるオンラインストア「PLCnext Store」のオープンも発表した。「PLCnext Store」では、企業や個人などのApp開発者が開発したAppを自由に提供できる。利用者はPLCnextコントローラーに直接インストールして利用する。ユーザーはプログラミングなどの知識や技術がなくても最短で数分以内にアプリケーションが利用可能となる。
Appはオープン当初は、無償のプログラム作成で使えるライブラリの他、即時利用可能な産業用オートメーションの課題解決アプリケーションパッケージ(Solution App)が提供予定となっている。今後は段階的に拡大を予定する。ドイツでは2018年11月27日(現地時間)から運用を開始しているが、日本を含む他の国では2019年中に運用開始予定としている。
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