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SUBARUの不適切検査、国交省は一連の事態をどう見たか製造マネジメントニュース

国土交通省は2018年11月14日、SUBARUが実施していた一連の不適切な完成検査について、同社に再発防止に向けて業務の再点検や、対策の見直しや実施を徹底するよう勧告した。

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 国土交通省は2018年11月14日、SUBARUが実施していた一連の不適切な完成検査について、同社に再発防止に向けて業務の再点検や、対策の見直しや実施を徹底するよう勧告した。この勧告の中で国土交通省は、自動車型式認証制度の根幹を担う完成検査において、本件が「信頼を損なう事態を引き起こしたことは極めて遺憾」と表明している。


2019年3月期第2四半期決算で説明を行うスバル 社長の中村知美氏(写真左から2番目)

SUBARUの不適切な完成検査を振り返る

 SUBARUが行っていた一連の完成検査問題は、2017年10月に同社が公表した「完成検査員に任命されていない検査員が合否判定を行っていた」などのいわゆる“無資格検査”に端を発する。

 その後、2018年4月には燃費、排出ガス抜き取り検査時における測定値の不正な書き換え、同年6月には同検査における“トレースエラー”、“湿度エラー”といった不適切な取り扱い、そして同年9月には燃費、排出ガス抜き取り検査以外の完成検査業務においても不適切行為があったことなどを明かしている。

 さらに同年11月5日には、同年9月に行った報告に記載した不適切行為の終了時期が事実と異なり、一部の行為では同年10月まで行っていたことを発表。この一連の完成検査問題によって、累計で約53万台の車両がリコール対象となった。

SUBARUのコンプライアンス欠如を厳しく指摘する国交省

 国土交通省は2018年11月14日、SUBARUが現在までに提出した調査報告書を精査するとともに、これまで2回行った立ち入り検査の結果を受けて、同省の所感と同社が講ずべき措置、そして同省が行う措置を示した。

 まず、長期間にわたって完成検査の現場の実態を把握できていなかったことに対して、国土交通省は「経営層を含めたスバル組織の責任は極めて大きい」と厳しく指摘。また、最近まで不適切検査が継続していたことを過去調査で見抜けなかったことについても、「スバルにおける完成検査の現場の把握・管理は深刻な状態にある」と表現するとともに、「不適切事案を自ら明らかにして改善する自浄能力が欠如していると言わざるを得ない」と、同社のコンプライアンス欠如を強く非難した。

 そのうえで、「経営層の責任の重さを認識した上で、強い危機感を持って」完成検査における不適切行為の再発防止に取り組むよう、国土交通大臣からSUBARU社長に対して講ずるべき措置を勧告した。勧告の内容は以下の通り。

  1. 検査現場の業務把握、管理について再点検
  2. 検査業務の継続的点検
  3. 再発防止策の見直し
  4. 再発防止策の徹底と実効性確保
  5. 再発防止策の実施状況等について四半期ごとに報告
  6. 今後不適切事案が判明した場合、リコールなど必要な措置を速やかに行うこと

 この勧告では、特に「経営層から現場の一係員に至るまで全員が当事者意識を持つこと」「経営層のリーダーシップのもと、現場の第一線までコンプライアンス重視を浸透させること」と、全社を挙げてコンプライアンス意識の醸成と不適切事案への対策を講じるべきとの指摘が目立った。

 また、国土交通省はSUBARUから再発防止策の実施状況について四半期ごとに報告を受け取るとともに、当分の間同社を「重点的な監視対象」と設定し、「更なる対応が必要となる場合には厳正に対処する」と方針を示している。

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