TRAFAMが砂型3Dプリンタのプロジェクト完了、金属3Dプリンタは引き続き技術開発へ:金属3Dプリンタ(2/2 ページ)
技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)は、Additive Manufacturing(付加製造)の国家プロジェクトを新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究として進めている。
シミュレーションソフトの実行環境
シミュレーションソフトについては、クラウドで実行できる環境を整える。ユーザーのニーズが高いであろうプロセスマップについては、データ種別を指定し、マップ上をクリックすることで、該当条件に登録されたデータが表示されるようにするという。
知財や国際標準化への取り組みも
他に重要な取り組みとして、安全・環境情報や、通常兵器や軍事転用が可能な民生技術などについて輸出管理を行う国際的な枠組みであるワッセナー・アレンジメントへの対応、人材育成のためのセミナー開発などを行っているという。
知的財産に関しては、このプロジェクトの範囲内および期限内で得られた知的財産(職務発明)はTRAFAMに帰属することを基本方針としており、現在の時点で72提案を受け付け、そのうち62件をPCT出願(国内での出願と同時に他のPCT加盟国にも出願できる制度)しているという。
「国際標準化への対応も非常に重要」(京極氏)といい、AM関連技術の国際標準化については、2011年に発足したISO/TC261(Additive Manufacturing)が、ASTM(米国材料試験協会)と共同で国際規格の発行を進めているところである。日本は2013年にISO/TC261に加盟している。また「特に日本は鋳造向けAM分野が注目されている」(京極氏)こともあり、日本がリーダーとなって鋳造用AM砂型の標準試験方法について提案する新JGの作業を進めているという。
レーザービーム方式金属積層造形装置を発売
レーザービーム方式積層造形装置には松浦機械製作所、東芝および東芝機械、三菱重工工作機械が取り組む。松浦機械製作所は積層造形と切削のハイブリッド装置で実績を持っている。東芝機械と三菱重工工作機械は、TRAFAMでの成果を基に、レーザー加熱による粉末デポジション方式の積層造形装置を発表している。
東芝機械は試作機「ZK-T2010」を発表しており、5軸制御で航空宇宙部品などの大型円筒の製作を想定している。造形サイズは2m×1m(径×高さ)。材料はSUS316、718合金(ニッケル合金)、Ti-6Al-4V(チタン合金)。三菱重工工作機械は「小型3次元金属積層造形機」と「複合3次元金属積層造形機」を発表している。前者は積層造形のみ、後者は切削との複合機。造形サイズはそれぞれ一辺が250mm、500mm。1、2、4、6kWのレーザーに対応する。
後編は「TRAFAM砂型3Dプリンタを乾式砂でスピードアップ、電子ビーム金属プリンタはスモーク抑制の研究も」(予定)。
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