プリント基板の変種変量生産を最適化、生産性30%向上:製造マネジメントニュース
日立製作所とJUKIは、IoTを活用したプリント基板生産ラインの最適化に向け、本格的な協創を開始した。第1弾として、設備データを活用して変種変量生産を最適化する「プリント基板生産最適化ソリューション」を発表した。
日立製作所は2018年10月15日、IoT(モノのインターネット)を活用したプリント基板生産ラインの最適化に向け、JUKIと本格的な協創を開始したと発表した。協創の第1弾として、両社が開発した「プリント基板生産最適化ソリューション」を、同年11月1日から提供する。価格は個別見積もりとなる。
プリント基板生産最適化ソリューションは、設備データを活用して変種変量生産を最適化するもので、「生産進捗、実績管理」「稼働実績分析」「不具合解析」「設備保全」「在庫管理」の5つのソフトウェアパッケージで構成される。
各種設備から吸い上げた稼働実績などのデータを元に生産ラインを可視化することで、ライン全体を最適化し、生産性を向上させる。不具合発生時には、検査装置やマウンタ(電子部品をプリント基板に配置する装置)で取得した画像データを、不具合の解析や再発防止に活用できる。さらに、自動倉庫と生産ラインの部品在庫を一元的に管理し、メンテナンスの必要性を判断するための設備稼働情報を一覧表示するなど、管理工数低減や保全業務の効率化に貢献する。
同ソリューションのJUKI産機テクノロジーへの導入試験では、導入後1カ月で、生産性が30%向上した。
今後、両社はAI(人工知能)などを活用した最適な生産計画の立案や、メンテナンス作業のさらなる効率化、クラウドサービスやサイバーセキュリティなどへの対応など、新たなビジネス展開についても検討する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 小売・流通向け、AI活用データ分析サービスを提供開始
日立製作所は、小売流通企業を対象に、ユーザー企業から各種データを預かり、AIによる分析結果に基づいてデータサイエンティストが施策提案するサービス「Hitachi Digital Solution for Retail」を2018年11月1日から提供開始する。 - デジタルツインの最初の一歩、日立が生産工程のデータ連携を最適化を支援
日立製作所は、生産設備の稼働状況や環境情報などのOTデータと、生産計画や在庫管理などのITデータをデジタル空間で簡単にひも付けられ、生産工程全体の最適化を支援するソリューション「IoTコンパス」を発売する。 - 日本発を世界に、実装機メーカー20社がスマート工場の新通信規格発表
日本ロボット工業会(JARA)とSEMIは2018年6月6日、SMT(表面実装)装置業界における独自のM2M連携通信規格を発表し、国際規格として普及を推進していく方針を示した。 - スマートファクトリー化に向け実証開始、日立とオークマが協業
オークマと日立製作所はIoTを活用しマスカスタマイゼーションを実現する先進生産モデルの確立に向けて協業を開始する。オークマの新工場で実証モデルを立ち上げ、生産性2倍、生産リードタイム半減を目指す。 - 設備保守に必要な情報を提供する保守支援ソリューション
日立パワーソリューションズは、日立製作所が開発した「構造化情報一元管理技術」を基盤技術として活用する「ナレッジベース保守支援ソリューション」を2018年5月から提供開始する。 - ものづくり支援特化のAIサービス、PCB設計やライン生産支援など幅広く
富士通は製造業支援に特化した、AI活用のコンサルティングサービスを提供する。生産ラインの画像認識プログラム生成や、プリント基板の設計工程など、さまざまな局面の効率化を提供する。