吉利とボルボが仕掛ける新ブランド、クルマを「買わずに」「安く」使う:モビリティサービス(2/2 ページ)
吉利汽車とVolvo Cars(ボルボ)が共同出資で立ち上げたブランド「Lynk & Co(リンクアンドコー)」は2018年10月19日、富士スピードウェイ(静岡県小山町)でセダンの新型車「03」を発表した。
欧州ではサブスクリプション方式をメインに
リンクアンドコーが展開する3モデルは、全てインターネットに常時接続する機能を搭載したコネクテッドカーだ。単に地図情報をリアルタイムに更新したり、車載情報機器で最新の情報を得たりするだけでなく、個人間カーシェアリングを前提としている点が独特だ。
03にも個人間カーシェアリングの機能が実装済みで、サービス開始とともにすぐに利用できる状態になっている。例えば、通勤に使うユーザーが勤務先に到着した後にカーシェア用スイッチを押すと、ユーザーが退勤するまでのクルマを使わない時間帯にシェアリング可能な車両として扱われる。そうした個人間カーシェアによって、ユーザーが負担する所有あるいは利用のコストを下げることを狙う。
「シェアリングには2つのタイプがある。シェアリングバイクのようにどこかにまとめて置いてあるものを借りて、既存の交通手段の代わりとなるものが1つだ。われわれが目指すカーシェアリングはもう1つのタイプで、友達や家族、リンクアンドコーのコミュニティー内で行う。例えば、月額500ドルで借りているクルマを、誰かに数日間貸して150ドルの収入が得られれば、元々のユーザーは月額350ドルでクルマを利用できる。どのようなシェアリングサービスがいいかを決めるのはユーザーだが、クルマを使うきっかけを提供することを目指していく」(フィッセル氏)
リンクアンドコーは、欧米向けにはクルマを買わずに使うサブスクリプション方式での利用サービスを展開する。「モビリティサービスがバズワードになっているが、クルマを売りたいという思いは多くの自動車メーカーで変わらない。われわれは買わずに利用する形態をメインに据える」(フィッセル氏)。欧州では2020年から、個人間カーシェアリングも始める。サービス提供に向けた詳細も現在詰めている段階だ。また、ディーラーのような店舗も欧米では持たない。
一方、まだ中国は自動車を購入、所有すること自体が一大イベントであり、実車を確認してから購入を決めるユーザーも多いため、ディーラーでの販売が主体となる。中国については市場調査を進めている段階だが、シェアリングサービスに対して欧米と同様の志向に進むとみられることから、同様のサービスを迅速に展開できるよう、シェアリング機能を車両に搭載して発売する。
関連記事
- BMWと日産の2人が起業、SUVタイプのEVを500万円で2019年に発売
中国の電気自動車(EV)ベンチャーのFuture Mobilityは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2018」のプレスカンファレンスにおいて、2019年に発売予定の中型SUVタイプのEV「BYTON」を披露した。 - VWのコネクテッドカーの肝は「vw.OS」、カーシェアなどサービスの土台に
Volkswagen(VW)は2018年8月23日(現地時間)、2019年第2四半期から電気自動車(EV)のカーシェアリング「We Share」を開始すると発表した。クルマを所有しない人を主なターゲットとし、EVやカーシェアリングの利便性を知ってもらうことが狙いとなる。 - 中国配車サービス大手が自動車メーカー12社と協業、ルノー日産三菱も参加
ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンスは、電気自動車(EV)を使った中国でのカーシェアリングについて、滴滴出行(ディディチューシン)と協業する。 - EV大反転、敵はとり得る3つの方針の中から4番目を選んでくる
フランスや英国政府による2040年までにガソリン車・ディーゼル車廃止の発表に端を発したEV大反転の話題は、政府と既存の大手自動車メーカーの動向に話題が集中している。しかし、これまで想定していなかったプレイヤーが参加するなど、もっと別のところからも動きが出てくるのではないだろうか。まさに異業種格闘技の様相を示してきている。 - スマホゲームは既存市場を食わなかった? 「MaaS」も新車販売をつぶさない?
モビリティサービスとは何か、既存の自動車業界のビジネスにどのような影響を与えるのか。DeNAの中島宏氏が説明した。 - 個人間カーシェアで維持費を最大98%まかなえた、有利なのはミニバン
ディー・エヌ・エー(DeNA)が提供する個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」は、2017年度に利用された車種の維持費軽減率ランキングを公開した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.