AI制御で“塩のさじ加減”が可能な協働ロボット、オール愛知で抹茶も点てる:WRS2018
デンソーとデンソーウェーブは、ロボットの国際大会「World Robot Summit 2018」において、持ち運びが可能な軽量の協働ロボット「COBOTTA」の制御プログラムにAIを適用したデモを披露。愛知県ブースでは「抹茶ロボット」を展示した。
デンソーとデンソーウェーブは、ロボットの国際大会「World Robot Summit 2018」(2018年10月17〜19日、東京ビッグサイト)において、持ち運びが可能な軽量の協働ロボット「COBOTTA」の制御プログラムにAI(人工知能)を適用したデモを披露した。AIの開発はベンチャー企業のエクサウィザーズが担当している。
スプーンを使って一定の重さの塩を計量する制御プログラムのAIは、遠隔で動作が連動する2台のCOBOTTAを用いて、スプーンで塩をすくう動作を学習させた。COBOTTAの上方に設置した距離とカラー画像を同時に取得できるRGB-Dセンサーと、ロボットの各軸の動きを基に、塩が入っている容器からスプーンで適量の塩をすくう動作について200回分のデータを取得。GPUボードを組み込んだPCを用いて数時間かけて深層学習(ディープラーニング)を行い、AIのアルゴリズムを構築した。遠隔で学習を行えるので、危険物を取り扱う作業にも適している。
この他、ミニカーの組み立てを行うCOBOTTAも披露。指定のパレットから正しい順序で部品を取り、組み付ける作業を一連の動作として学習しており、組み立て途中の状態からでも作業を再開させられる。作業の途中で人と交代したり、途中から人の作業を引き継ぐことも可能だ。
愛知県ブースでは抹茶ロボも出展
デンソーとデンソーウェーブは本社が愛知県内にあることから、愛知県ブースでもCOBOTTAを用いたデモを披露していた。
こちらのデモは、3台のCOBOTTAと2台の産業用ロボットが連携して、来場者に抹茶を提供してくれる内容になっている。愛知県企業のロボットが、同県西尾市特産の抹茶と瀬戸市特産の陶器を使って作るという、愛知県ならではのデモになっている。なお、こちらのデモの制御プログラムはAIではなく、エンジニアが作り込んだものだ。
関連記事
- 人間対ロボットの将棋戦、今度は“両手”で勝負
ドワンゴ、日本将棋連盟、デンソーは、2017年4月1日と5月20日に開催される人間対ロボットの将棋戦「第2期電王戦」において、コンピュータの指示を代理で指す代指しロボットとして新たに「電王手一ニさん(でんおうていちにさん)」を使用する。 - この深い味わいをロボットが!? 隠し味はクラウドにあり
デンソーウェーブは、「Embedded Technology 2016」「IoT Technology 2016」(2016年11月16〜18日/パシフィコ横浜)の日本マイクロソフトブースに出展。同社の産業用ロボットと、マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」の組み合わせによる「コーヒーバリスタロボット」をデモし、注目を集めた。 - 産業用ロボットがけん玉を? 高校生の果敢な挑戦
デンソーは「CEATEC JAPAN 2015」に出展し、「高校生けん玉ロボットプロジェクト」の成果を紹介する。 - 双腕型ロボットが自動でタオルをたたみサラダを盛り付ける、AI学習はVRシステム
デンソーウェーブは、ベッコフオートメーション、エクサウィザーズなどと共同開発した「マルチモーダルAIロボット」について説明。多指ハンドを装着した双腕型ロボットアームをディープラーニングで得たアルゴリズムによってリアルタイムで制御するAIロボットであり、自動でタオルをたたんだり、サラダを盛り付けたりするデモを披露した。 - デンソーの未完成ロボット「DELITA」が示す“余白”の大切さ
デンソーは、「CEATEC JAPAN 2017」において、自律移動型物流ロボット「DELITA」を展示した。電装部品大手のデンソーが展示会で披露するロボットと聞くと、会社イメージ通りに“しっかりしたもの”と思うかもしれないが、なんとDELITAは未完成のロボットだ。 - 産業用UAVから始まる、デンソーの新たなロボット事業
デンソーが2016年4月に設立した「Robotics開発室」は、産業用ロボット以外の分野に、同社が培ってきた制御技術をロボットとして展開することを目指している。第1弾製品となるの産業用UAV(ドローン)は、競合他社のドローンにはない姿勢制御と運動性を特徴に、道路橋などの社会インフラ点検用途での展開を目指す。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.