産業用ロボットがけん玉を? 高校生の果敢な挑戦:CEATEC JAPAN 2015
デンソーは「CEATEC JAPAN 2015」に出展し、「高校生けん玉ロボットプロジェクト」の成果を紹介する。
デンソーは、2015年10月7〜10日までの期間、千葉県の幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2015」に出展。同社が山形県立長井工業高校、愛知県立刈谷工業高校、デンソー工業学園とともに取り組んできた「高校生けん玉ロボットプロジェクト」の成果を紹介する。
同社が実施した高校生けん玉ロボットプロジェクトは「次代を担う日本の高校生にモノづくりを経験してもらい、その楽しさや難しさを知ってもらいたい」ということから始まったプロジェクトだ。3つの工業高校とデンソーで、デンソーウェーブの垂直多関節ロボット「VS−050」に「けん玉」を持たせ、制御プログラムを組み立て、実演することを目指した。
プロジェクトに参加したのは山形県立長井工業高校、愛知県立刈谷工業高校、デンソー工業学園だ。けん玉は、参加した山形県立長井工業高校と同じ地域にある山形工房の競技用けん玉「大空」を使用した。
ロボットで木を扱う難しさ
デンソーが以前取り組んだ「電王手くん」「電王手さん」などでも同様だが、産業用ロボットは、形や素材などが統一されたものを扱うことを全体としている。しかし、手作りの木製素材の製品は実際には形状が一個一個異なり、重心や表面の滑らかさなども異なるため、実は扱うのが非常に難しいという。
電王手シリーズの開発に携わり今回のけん玉プロジェクトにも参加するデンソーウェーブ 制御システム事業部 技術企画部 製品企画室 主任の澤田洋祐氏は「大人でも取り組んだことがなく解答を持っていないチャレンジに高校生が取り組んだことに意味がある。映像を使ったPDCAサイクルを回すなど、企業でもなかなかできていないような取り組みを進め、着実に実演できる状況に仕上げられている」と語る。
CEATEC JAPANの会場設営の都合上、短時間でロボットの調整を行わなければならず、各校で仕上げてきた実演精度よりも最終的な精度は落ちるというが、調整中のデモでも大皿や小皿などに次々にけん玉を乗せることができていた。実演のロボットは各校分で3台用意されているが「同じ実演だが、各校の描くプログラムは異なっており動きもそれぞれ違っている。そういう工夫にぜひ注目してほしい」と澤田氏は語っている。
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