デンソーの未完成ロボット「DELITA」が示す“余白”の大切さ:CEATEC 2017
デンソーは、「CEATEC JAPAN 2017」において、自律移動型物流ロボット「DELITA」を展示した。電装部品大手のデンソーが展示会で披露するロボットと聞くと、会社イメージ通りに“しっかりしたもの”と思うかもしれないが、なんとDELITAは未完成のロボットだ。
デンソーは、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、幕張メッセ)において、自律移動型物流ロボット「DELITA」を展示した。電装部品大手のデンソーが展示会で披露するロボットと聞くと、会社イメージ通りに“しっかりしたもの”と思うかもしれないが、なんとDELITAは未完成のロボットだ。
DELITAは、工場内で部品などを運ぶのに用いる自動搬送ロボットをベースに、ゆるキャラ(DELITAくん?)を模したデザインが施されている。物流を担うのは、頭の部分に当たる箱。箱の前面に設置したディスプレイには、手書き調のゆるキャラの表情がくるくると入れ替わる。センサーは、ベースの自動搬送ロボットと同じライダーを用いている。
DELITAの前に人が近づくと、箱の上蓋が開いて、中にあるお菓子などを手に入れることができる。人が離れると上蓋が閉まる。2017年春からコンセプト立案を始めて半年程度しか経過していないこともあって、機能は極めて限定的……というよりも未完成だ。
DELITAを企画したデンソー バリューイノベーション室 ソーシャルデザイン課 担当係長の羽田成宏氏は「物流を真正面から捉えるのではなく斜めから見た、モノの移動に関する新しい提案をするためのロボットだ。未完成だからこそ、使いたい人、作りたい人、考えたい人と一緒に『モノの移動の未来像』を創造していける」と語る。
CEATEC JAPAN 2017以降はAI(人工知能)を用いたコミュニケーション機能の搭載なども検討している。だがそういったスペック面での話よりも、「さまざまな人と共創して新たな価値を生み出していくきっかけになれば。未完成だからこそ、そこから生まれるものもある」(羽田氏)という。
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