基板に実装できる全固体電池、IoTデバイスの電源として期待大:CEATEC 2018
TDKは、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、幕張メッセ)で、基板に実装できる全固体電池「CeraCharge(セラチャージ)」を展示した。国内初披露となる。IoT(モノのインターネット)やRTC(リアルタイムクロック)デバイスの電源などでの利用を見込んでいる。
TDKは、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、幕張メッセ)で、基板に実装できる全固体電池「CeraCharge(セラチャージ)」を展示した。国内初披露となる。
2017年11月に発表された同製品は、「世界初」(同社調べ)のSMDタイプ全セラミック固体電池で、IoT(モノのインターネット)やRTC(リアルタイムクロック)デバイスの電源、環境発電(エネルギーハーベスティング)用途での利用を見込んでいる。
同製品は、小型なEIA 1812パッケージ(4.5×3.2×1.1mm)を実現し、「電子部品のように、はんだリフローで表面実装できる」(同社担当者)ことが特徴。定格電圧は1.6V、容量は100μAhとなる。電池交換などのメンテナンスコストが発生するボタン電池を代替できる2次電池として活用できるとし、充放電サイクルは1000回程度だ。
同製品の開発では、MLCC(積層セラミックコンデンサー)などの製造により培ってきた積層技術が役立てられた。「車載用途で開発中の全固体電池とは全く異なる材料によりできている」といい、電解質や内部電極は焼成可能なリチウムベースの酸化物系セラミックを採用する。集電体には銅を用いており、「銅の加工技術を得意とする欧州の開発グループが実用化に大きく貢献した」とする。
現在、同製品は月産3万個でサンプル出荷中。量産開始に向けて、「サイズや容量の面で改善を続けている」という。
また、同社ブースでは、太陽電池とCeraCharge、リコー電子デバイス製の低消費電流昇降圧DC-DCコンバーター「RP604」から成る電池モジュールにセンサーを組み合わせた、センシングと電池の充放電を同時に実行する環境発電のデモを展示。このデモで用いられた電源モジュールも製品化を予定しており、現在は有償でのサンプル出荷中。2019年度以降の量産化を目指すとし、「年間数十万個程度の販売を目指す」としている。
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