ニュース
10分で満充電になるリチウムイオン電池、定格容量の30倍の電流供給も可能:電気自動車
エリーパワーは、急速充放電が可能なリチウムイオン電池「ハイレート電池」を開発した。10分で満充電になる急速充電性能と、最大で定格容量の30倍の電流供給が可能な放電性能を有しており、2015年度内に生産を始める。
エリーパワーは2015年10月22日、急速充放電が可能なリチウムイオン電池「ハイレート電池」を開発したと発表した。10分で満充電になる急速充電性能と、最大で定格容量の30倍の電流供給が可能な放電性能を有しているという。顧客による評価作業を進めるため、2015年度内に生産を始める。
ハイレート電池は、同社が販売している定置型リチウムイオン電池と同様に、正極材料にリン酸鉄リチウムを用いている。負極材料については、定置型リチウムイオン電池はカーボンを使用しているが、ハイレート電池は「カーボン系だが従来とは異なる材料」(同社)を採用した。これによって、定置型リチウムイオン電池と同様にくぎ刺し、圧壊、過充電しても発煙発火しない安全性を維持しながら、高い充放電性能を実現できているという。なお公称電圧は、定置型リチウムイオン電池と同じ3.2Vである。主な用途は、自動車を含む移動体、風力発電、ロボットなどを想定している。
自動車用途で求められる使用温度範囲の拡大にも対応した。従来の定置型リチウムイオン電池は−20〜60℃だったが、ハイレート電池は−30〜65℃となっている。
関連記事
- 鉛バッテリーはリチウムイオン電池より電動車両に向く?
自動車の電源として単電池で使われている鉛バッテリー。しかしバッテリーフォークリフトのような電動車両では、複数の鉛バッテリーを用いた組電池システムとして利用されている。パナソニックが、コマツのバッテリーフォークリフト用に新開発した「EV鉛蓄電池 組電池システム」は、電動車両への適用をさらに拡大し得る製品だ。 - 容量がリチウムイオン電池の7倍!? 酸化物イオンを使う新原理の二次電池
東京大学大学院工学研究科教授の水野哲孝氏のグループと日本触媒は、現行のリチウムイオン電池の7倍に達するエネルギー密度を可能とする、新原理の二次電池の動作を実証したと発表した。この新原理の二次電池は、正極中における酸化物イオンと過酸化物イオンの酸化還元反応を利用する。 - 村田製作所が“ハイブリッドリチウムイオン電池”を開発、超小型EVでお披露目
村田製作所は、独自開発の高入出力リチウムイオン電池モジュールと異なるタイプの二次電池モジュールを併用する「高入出力型ハイブリッドリチウムイオン蓄電池モジュール」を新たに開発した。超小型電気自動車(EV)「ZieD α1」に搭載して、「オートモーティブワールド2014」に出展する。 - リチウムイオン電池の容量が従来比3倍に、積水化学がゲルタイプ電解質を新開発
積水化学工業は、一般的なリチウムイオン電池に用いられている電解液と同等クラスのリチウムイオン電導性を持つゲルタイプ電解質などを用いて、リチウムイオン電池の容量を従来比で3倍まで高めると同時に、生産速度も同10倍に向上できる技術を開発した。2014年夏をめどにサンプル提供を始め、2015年度には量産販売したい考え。 - トヨタがEV開発に注力しない理由とは? 全固体電池が走行距離の限界を打ち破る
トヨタ自動車は、実用的な走行距離を持つ電気自動車(EV)を開発するために、現行のリチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度を持つ「革新型電池」の研究開発を進めている。「エコプロダクツ2012」では、革新型電池の1つである全固体電池の開発成果を披露した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.