コードレス工具を柱に、新ブランド「HiKOKI」を打ち出す工機ホールディングス:FAニュース
工機ホールディングスは2018年10月1日、新ブランド「HiKOKI(ハイコーキ)」とそれに基づく新戦略についての発表会を行った。
工機ホールディングスは2018年10月1日、都内で新ブランド「HiKOKI(ハイコーキ)」および新戦略についての発表会を開催。「コードレス革命」を訴え、コードレス工具を中心に成長を加速させる方針を示した。
日立工機から社名変更、新ブランドは「HiKOKI」
工機ホールディングスはもともと、日立製作所の子会社「日立工機」として運営を進めてきたが、2017年3月に米投資会社のコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下のHKホールディングスの傘下に入り、新体制となった。2018年6月には社名を工機ホールディングスに変更。さらにこのほど、製品ブランドを「HiKOKI」へと変更することを発表した。
工機ホールディングス 代表取締役 社長執行役員 前原修身氏は「新体制になり新たなブランドプロミスやブランドロゴ、タグラインなどを定め、目指すべき方向性を示した。これらにより成長を本格化させる」と述べる。
新体制での製品戦略や展開戦略の再構築などにも取り組む。プロダクトマネジメントの強化やマーケティングコミュニケーションの強化、マーケットインテリジェンスの強化を3つの取り組みとして進める。
その中で製品面で中心商材と置くのがコードレス工具化を実現する「マルチボルト蓄電池」である。マルチボルト蓄電池は18Vの電圧の蓄電池と同じサイズで36Vの出力を得られ、さらにAC/DCどちらでもハイブリッドな動力環境を実現できる。この蓄電池に対応したコードレス工具を中心にグローバルで成長につなげていく方針だ。
工機ホールディングス 常務執行役員 湯本寛文氏は「マルチボルト蓄電池はパワー、耐久性、精度、携帯性それぞれで優れた特徴を持つ。36Vのマルチボルト蓄電池により1500Wクラスのモーターが駆動できるレベルとなっており、ACでコードをつないだ環境とDCでコードレスで駆動する環境とで同じパフォーマンスが発揮できるようになる。用途や使い方に応じて使い分けられる環境が生まれると考えている」と述べている。
これらの取り組みにより、2018年3月期の売上高が1912億円だったのに対し、2021年度に3000億円の売上高を目指すとしている。
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