マインドスフィアは導入が本格化、3つの戦略で普及を目指す――シーメンス:FAニュース
シーメンスはグローバルで発表した戦略「Vision2020+」に対し、日本での取り組みについて紹介した。
ドイツのシーメンスの日本法人であるシーメンス(日本法人)は2018年9月6日、都内で「Vision2020+(ビジョン2020プラス)」に伴う戦略方針の発表を行った。国内でもグローバルで再編された組織体制に再編する他、「Mindsphere(マインドスフィア)」を始めとするデジタル戦略を強化していく方針を示した。
戦略会社3つと社内カンパニー3つに再編
シーメンスは2018年8月1日に新たな事業戦略「Vision2020+」を発表。これに伴って大規模な組織再編を行った。新たな事業計画についてシーメンス(日本法人)の代表取締役社長兼CEOである藤田研一氏は「従来Vision2020という計画を進めてきたが、目標としてきたものを前倒しで達成できたため、さらに好調なうちにさらに取り組みを前に進めるべきだという考えで発表したものだ」と新たな事業計画について述べている。
「Vision2020+」で大きな変化が組織再編となる。従来の社内事業と合弁会社などを、3つの戦略会社と3つの社内カンパニーに再編し、6つの強化事業領域を明確に示した。3つの戦略会社は風力発電事業などを行う「Siemens Gamesa」、医療関係の「Siemens Healthineers」、鉄道事業を展開する「Siemens Alstom」である。社内カンパニーは、資源やエネルギー事業を扱う「ガス&パワー」、インフラ関係を担う「スマートインフラストラクチャ」、FAなど産業系のソリューションを展開する「デジタルインダストリー」である。産業用ソフトウェア事業なども全てこの「デジタルインダストリー」に含まれることになる。
強化のカギを握る「デジタル化」
これらを再編した上で、成長の柱として位置付けているのが「デジタル化」である。「シーメンスはデジタル化に向けた投資を長い期間続けており、デジタル領域の成長率は80%に達し、売上高は6800億円規模まで成長している。既に産業向けソフトウェア企業としてリーディングカンパニーの1つとなった」と藤田氏は力を込める。
さらに産業用IoTのOSとして訴求しているIoT基盤「マインドスフィア※)」については「既に接続機器はグローバルで100万を超えており、世界最大級の産業向けIoT基盤になった」(藤田氏)と強調している。
※)関連記事:産業用IoTのOS目指す「マインドスフィア」の現在地
国内ではマインドスフィアは3つの取り組みを強化
日本においては、グローバルの社内カンパニーの再編に合わせて組織再編を行う計画。また、デジタル化の基盤作りを進めていく方針である。
その鍵となるマインドスフィアについては3つの方向性で取り組みを進める。
1つ目は、マインドスフィアパートナーの強化だ。「マインドスフィアはOSのような存在である。使ってもらうにはアプリケーションが重要だ。それぞれの価値に合うアプリケーション開発を行う必要がある。製造業の中を見てもさまざまな業種があり、要件は異なってくるのでシーメンスだけで全てを行うのは難しい。パートナーシップが非常に重要になる。パートナー候補は100社以上あり、それぞれと話を進めていく」と藤田氏は語る。
2つ目が、クラウドでのオープンな立場を強く押し出すということだ。シーメンスは産業機器を既に展開しており、エッジ側のプラットフォームや機器を展開するベンダーとは競合関係にある。これらをエッジ側の機器のベンダーにとって、マインドスフィアを使うということは囲い込まれて、エッジ側の機器も置き換えられるのではないかという不安を抱えている。それらを解消するためにクラウドでの展開とオープンであるという姿勢を打ち出し、積極的にエッジ側のプラットフォームや機器との連携を進めるという。
藤田氏は「個々のプロジェクトとしては、エッジプラットフォームと連携させて、スマート工場化を進めるような動きも出ている。あくまでもオープンであるということを強く訴えていく」と述べている。
3つ目がマインドスフィアを支える機器やハードウェアなどの強化を進めるという点だ。「最終的な顧客価値を考えた場合、プラットフォームやアプリケーションだけでは実現できない価値も存在する。ハードウェアとの組み合わせが必要で、ハードウェアそのものの強化や新たな開発なども必要になる。そちらもしっかり強化していきたい」と藤田氏は述べている。
藤田氏は「導入は急速に拡大しており、年内に50件くらいの導入にはなりそうだ。これから一気に拡大が進む見込みだ。シーメンスは工場の中が理解できており、ハードウェアとソフトウェアそれぞれも保有している。その強みを生かしていきたい」と抱負を述べている。
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