インダストリー4.0は実装段階と訴えるシーメンス、マインドスフィアも新フェーズ:ハノーバーメッセ2018(1/2 ページ)
シーメンスはハノーバーメッセ2018において、プレスカンファレンスを開催し、インダストリー4.0が既に実装段階に入っており、成果を残していることを強調。合わせて、同社の推進する産業用IoT基盤「マインドスフィア」の進捗状況と、TSNなど新たな技術への取り組み状況を紹介した。
ドイツのSiemens(シーメンス)は2018年4月23日(現地時間)、ハノーバーメッセ2018(2018年4月23〜27日、ドイツ・ハノーバーメッセ)でプレスカンファレンスを実施し、インダストリー4.0が実装段階に入ったことを強調。同社のソリューションの導入成果を訴えた。
インダストリー4.0は既に実装レベル
シーメンスは毎年、ハノーバーメッセにおいて、出展テーマを用意しており、2015年は「On the way to Industrie4.0:The Digital Enterprise」、2016年は「Driving the Digital Enterprise」、2017年は「Discover the Value of the Digital Enterprise」としていた。今回のテーマは「implement now!」であり、これらの過去訴えてきたテーマを具現化したソリューションが既に導入され成果をもたらしている状況を訴えた。
シーメンス 取締役のクラウス・ヘルムリッヒ(Klaus Helmrich)氏は「インダストリー4.0で描く世界を実現するため『デジタルエンタープライズ』を掲げてさまざまな取り組みを進めてきたが、ポートフォリオの構築が進んできたことで、実際のビジネス価値につなげられるようになってきた。既に実導入が進んでおり多くの成果を導き出せるようになっている」と現実的な成果につながっている点を強調した。
デジタルエンタープライズを活用する価値についてヘルムリッヒ氏は「より高度な柔軟性、市場投入までの時間の短縮、進んだ効率化、素早い改善などがあるが、実際に多くの成果をもたらしている」と述べている。
例えば、自動車産業については、製品投入におけるシミュレーションが分断されていたのが一貫したデータ基盤上でそれぞれの要件をシミュレーションできることで試作の数を減らすことが可能となり、市場投入までの期間を短縮することができているという。また、製造についても実際の工場で自動化の調整などを行っていたのが、仮想空間上で事前にシミュレーションやプログラム構築を行うことで、製造開始までの時間を短縮できたとしている。また生産ラインでの予期せぬ停止なども故障予知などで回避できるようになったとしている。
これらのデジタルエンタープライズによる価値により、50%以上が市場投入期間の短縮に成功した他、98%以上が生産準備期間の短縮に成功。さらに99%以上が故障予知により、壊れる前に部品交換などを行えるようになったとしている。
その他、飲料産業や化学産業でも既に大きな成果を生み出しているという。ヘルムリッヒ氏は「実際の世界とバーチャルの世界を情報連携するデジタルツインの世界は実際の製品に反映されるものとなっている。さまざまな産業でさまざまな形で成果を生み出せている。今後はさらに導入が加速する」と述べている。
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