トレーサビリティーが問われる今だからこそ考えるべき調達の問題:モノづくり最前線レポート(2/2 ページ)
SAPジャパンは、2018年8月1日に「SAP Ariba Live Tokyo」を東京都内で開催した。“Procure with Purpose”(目的意識・意義を持った調達)をテーマに、企業におけるサステナビリティの重要性と、調達・購買部門の社会的役割および貢献を中心に最新ソリューションやユーザー事例を紹介。また「購買活動の真なる目的とは?」をテーマにパネルディスカッションを行った。
改革に向けての特徴的な取り組み方
続いて「改革に向けての特徴的な取り組み方について」の問いに対しては、西岡氏が「業務改革を進める中で、調達部門だけでなく、バックオフィス機能の改革にも乗り出した。その中で人事、経理、ロジスティックなどのコーポレート機能に対して、業務改革を進めているというのが特徴的だといえるだろう。グローバルベストプラクティスに向けて、業務を変えていくという意識は、調達部門だけでなく会社全体で意識が高まっている」と述べ、さらに「現在は間接財から業務改革を進めているが、最終的には調達全体に改革の波を広げていきたい」と意欲を示した。
さらに、経営統合や再編、吸収合併などを繰り返してきたJXTGエネルギーにおいては、現在の組織を形成している旧企業間での違いがあるようだ。染谷氏は「会社のカルチャーの違いがある。一般的だがグローバルな企業であれば、スピード重視で、スタンダード化(標準化)、ベストプラクティス活用を常に追求する。購買などを含めさまざまなものを集中する取り組みを行う。現状では、例えば購買業務では、ほぼ全数を購買部が担当していたところもあり、部分購買をしていたところもあるなど、企業文化の違いがある」とした。加えて、企業文化の違いがある中でのリスクを回避する取り組みについては「サプライヤーとはできるだけ対話をするようにしている。発注者側と受注者側が一方通行にならないような関係を構築するように努めている。長期的なパートナーシップを考えればWin-Winの関係が築けることが重要だ」と答えた。
また、志水氏は「マーケティングは個人の裁量に任される。そのため適正な調達ができているのか、効果が見えにくい構造となっている。問題が起きないように仕組みの中で統制をきかせていくということ必要がある」と付け加えた。
最後に、小野寺氏が「SAP Aribaとの関係性について」として、同システムの導入の現状と、今後の取り組みを聞いた。これに対して、西岡氏は「日東電工は2017年6月、間接財購買を対象にAribaを導入した。その際、最初に業務改革として掲げたテーマが3つあり、1つ目が可視化(見える化)、2つ目がハイバリュー化(高付加価値化)、そして3つ目が集約化である。取り組んで約1年たったが、調達通過率も約30%上がった他、見える化が想定以上に進み、さまざまな戦略的判断がタイムリーに行えるようになってきた。それだけにこれからの1年がより重要となる」とした。
また、染谷氏は「システムは一度作ると陳腐化する。その点、クラウドベースで常に新しいものが提供されることで使いやすい」と期待感を示した。さらに、志水氏は「現在、導入に向けて準備を進めている段階だ。業務改革だと思っていたが、実際はマインドセットの改革であり、心理的な苦労はある。その中でも、他社の事例などを合わせて紹介してくれるので魅力的だ」と評価した。
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