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新製品開発部門や調達・製造をサポートする管理間接部門の活動もTPMの重要な柱いまさら聞けないTPM(5)(1/3 ページ)

本連載「いまさら聞けないTPM」では、TPM(Total Productive Maintenance)とは何か、そして実際に成果を得るためにどういうことに取り組めばいいかという点を解説する。第5回となる今回は、「TPMの8つの活動(8本柱)」のうち開発管理と管理間接部門のスタッフに着目した活動を紹介する。

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⇒前回(第4回)はこちら
⇒本連載の目次はこちら

 グローバル化の進展とともに激しい新製品開発競争の時代になり、製品・工法・設備・開発管理の体制づくりは、製造業にとって企業の生き残りや勝ち残りのための最重要課題となっています。さらに製品ライフサイクルが極端に短くなり、新製品開発のリードタイム短縮やそれに伴う調達や計画、製造をサポートする管理間接部門の活動も必須となります。そこで今回は、これらの活動を紹介します。

新製品・工法・設備開発管理

 新製品を立ち上げる度に、故障や不良の問題が増えて、安定生産までに長時間を費やし困っている企業をよく見かけます。顧客ニーズの多様化に伴い多品種化となった現在では、製品のライフサイクルは極めて短くなり、新製品の立ち上がり後の事後対策ではもうからなくなりました。つまり、事後対策が完了する頃には製品寿命が終わってしまうことがあるからです。これでは会社は生き残ることさえ難しくなります。

 さらに故障や不良に振り回される立ち上げでは、顧客が要求する納期に対して、納入責任が果たせない事態も起こり得るでしょう。納期を守れないということは、顧客の信頼が得られず、将来の受注活動を阻害し売り上げ低下を余儀なくされます。つまり会社の将来を失うことにつながります。

 なぜ、新製品や新設備が立ち上がる度に故障や不良が増えるのか。この原因は、設計部門や生産技術部門の学習不足による部分最適志向の体質が考えられます。過去の製品不良に学んだ製品設計を行っていない、また過去の設備故障に学んだ設備設計をしていないなど、「過去のトラブルに学ぶ」姿勢の欠如が、故障や不良の発生を繰り返す原因になっていると考えられます。

 TPMは、設計部門や生産技術部門においても「過去のトラブルに徹底して学ぶ」という姿勢で活動に取り組みます。過去のトラブルを貴重な財産として活用し、新製品や新設備へMP(Maintenance Prevention)設計として反映します。そして、故障やチョコ停・不良・段取り時間などあらゆる問題(ロス)を設計段階で解決して、もうける垂直立ち上げを実現します。

 加えて、製品・工法・設備開発において新技術や新素材の開発や活用により新たな技術課題も先取りする必要があります。新製品や新設備の立ち上げ時にトラブルに振り回されないように、開発・設計段階で事前にこれらを解決して故障や不良を防ぎます。前述したように「製品・設備開発の管理体制づくり」という柱の活動がその役割を果たします。

 図1は、垂直立ち上げの改善前と改善後のイメージを示しています。図1の左側のように垂直立ち上げができていない場合は、設計・製作段階において故障や不良につながる不具合の抽出が少なく、初期流動管理段階でたくさん抽出され対策が打たれています。一方、図の右のように垂直立ち上げができている場合は、設計・製作段階でたくさんの故障や不良につながる不具合が抽出されて、初期流動管理前に対策が打たれています。

図1
図1 垂直立ち上げの改善前と改善後のイメージ(クリックで拡大)

 つまり垂直立ち上げのポイントは、設計・製作段階という開発工程の上流で、故障や不良につながる不具合を摘出して、対策を図面の中へ折り込むことです。

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