リチウムイオン電池のセパレーター事業を強化、宇部興産とマクセルが新会社:製造マネジメントニュース
宇部興産は2018年7月31日、リチウムイオン電池のセパレーター事業を強化するため、新会社の設立と事業移管を行うと発表した。マクセルとの共同出資会社である宇部マクセルに宇部興産のセパレーター事業を移管するとともに、新会社「宇部マクセル京都」を設立して需要が急増する塗布型セパレーターの研究開発を加速させる。宇部興産とマクセルがセパレーター事業を一体運営することにより、競争力を高める。
宇部興産は2018年7月31日、リチウムイオン電池のセパレーター事業を強化するため、新会社の設立と事業移管を行うと発表した。マクセルとの共同出資会社である宇部マクセルに宇部興産のセパレーター事業を移管するとともに、新会社「宇部マクセル京都」を設立して需要が急増する塗布型セパレーターの研究開発を加速させる。宇部興産とマクセルがセパレーター事業を一体運営することにより、競争力を高める。
新会社の宇部マクセル京都は、資本金5000万円で、2018年12月に設立する予定だ。出資比率はマクセルが51%、宇部興産が49%となる。代表者は未定。新会社では、マクセルが磁気テープ事業で培ってきた独自の均一分散技術と精密塗布技術を強化し、塗布型セパレーターの製品開発と塗布製造を行う。塗布型セパレーターは需要が急拡大しており、宇部興産における2018年度の売り上げは2016年度比4倍に増加する見通しだ。宇部興産の塗布型セパレーターはトヨタ自動車「プリウス」のリチウムイオン電池などに採用されているという。
宇部マクセルは、宇部興産のセパレーター事業を取り込むことにより、塗布型および無塗布型のセパレーターについて原膜からの一貫生産、供給ができる体制を構築する。製品ラインアップを拡充することで、市場の幅広いニーズに対応していく。宇部興産とマクセルは2011年に共同出資で宇部マクセルを設立、塗布型セパレーターの製造と販売を手掛けていた。宇部マクセルの出資比率は宇部興産が66%、マクセルが34%となっている。
宇部興産は2018年度を最終年度とする中期経営計画において、セパレーター事業を積極拡大事業と位置付けている。2018年7月31日に発表した宇部興産の2018年4〜6月期決算では、セパレーターを扱う電池材料・ファイン事業が増収増益だった。車載向けを中心に堅調な需要を受けて生産能力を増強した結果、販売量の増加が同事業の増収に寄与した。2020年度に向けてさらなる能力増強も計画しており、新プロセスで生産能力を40%増やす方針だ。
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