パナソニックを100年支え続けた事業とは? その強さの秘訣を探る(後編):メイドインジャパンの現場力(18)(4/4 ページ)
世界中の多くの製造業が祖業を手放す中、パナソニックはいまだに配線器具市場で大きなシェアを確保している。その強さの秘訣とは何だろうか。本稿では前編でパナソニックの配線器具事業の概要について、後編で配線器具事業のマザー工場である津工場の現場力について紹介する。
組み立て工程は自動搬送などを徹底
今まで見てきたような金属部品と樹脂部品を組み合わせる工程が組み立て工程である。組み立て工程はこれらの多くの部品を取り扱うために自動搬送などを徹底。AGVなどによる部品搬送に加え、自動倉庫からの搬出には吊り下げ式の搬送機構を採用する。
また工程間の移動についても自動搬出設備を導入しており、人手による搬送をほとんど行わなくてよい点が特徴となっている。
さらに組み立て工程の自動化も徹底されている他、検査工程の自動化も推進している。大量生産品では作業そのものはほとんど機械によって自動化されている。例えば、スイッチなどの接触の感触なども「人がどう感じるか」を数値化し最適な感触になっているかどうかの検査なども自動で行っているという。
現状では大量生産品の自動化を徹底して進めているところだが、今後はより少ない生産量の製品組み立てなども全自動化できるようにしていく方針だという。新たにロボットを採用した生産ラインを稼働しており、ここでの実績を強みとし、水平展開を進めていく方針だとしている。
これらで見てきたように津工場は、各工程における自動化を徹底しているという点が大きな特徴となっている。パナソニックの配線器具事業は100年の歴史を重ねているが、生産技術についても先進技術を取り入れながら進化し続けている。品質と効率を両立する形で高度化し続けているところが、100年たっても衰えない競争力となっているのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- パナソニックを100年支え続けた事業とは? その強さの秘訣を探る(前編)
世界中の多くの製造業が祖業を手放す中、パナソニックはいまだに配線器具市場では国内はもちろん、グローバルでも大きなシェアを確保している。その強さの秘訣とは何だろうか。本稿では前編でパナソニックの配線器具事業の概要について、後編で配線器具事業のマザー工場である津工場の現場力について紹介する。 - キーワードは“共創”、パナソニックが次の100年につなげる家電ビジョン
パナソニックは創業100周年を迎え、新たな家電戦略である「家電ビジョン」を発表した。今までの100年間で培ってきた総合家電メーカーとして強みに加えて、パートナーとの共創による新たな価値提案を特徴とする。 - 100年先の世界を豊かにする実験スペース「100BANCH」が1周年、昆虫食もあるよ!
パナソニックとロフトワーク、カフェカンパニーが渋谷で共同運営する実験スペース「100BANCH(ヒャクバンチ)」は2018年7月1〜8日の8日間、開設1周年を記念したイベント「ナナナナ祭」を行っている。 - スマートファクトリー化で進む“モノづくり”の融合
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第22回となる今回は「スマートファクトリー化で進む“モノづくり”の融合」をテーマに、製造と設計の変化について説明します。 - スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」
2017年はスマートファクトリー化への取り組みが大きく加速し、実導入レベルでの動きが大きく広がった1年となった。現実的な運用と成果を考えた際にあらためて注目されたのが「エッジリッチ」「エッジヘビー」の重要性である。2018年はAIを含めたエッジ領域の強化がさらに進む見込みだ。 - スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。