教材用組み込みソフト基盤をIoT製品開発向けに公開:組み込み開発ニュース
TOPPERSプロジェクトは、これまで教材として開発してきた組み込みソフトウェアプラットフォーム「TOPPERS BASE PLATFORM(ST)V1.3.0」「TOPPERS BASE PLATFORM(CV)V1.0.0」をIoT製品開発向けにオープンソースとして公開する。
TOPPERSプロジェクトは2018年6月4日、これまで教材として開発してきた組み込みソフトウェアプラットフォーム「TOPPERS BASE PLATFORM(ST)V1.3.0」「TOPPERS BASE PLATFORM(CV)V1.0.0」を、IoT(モノのインターネット)製品開発向けに公開すると発表した。
両プラットフォームについて、IoTの商品開発に活用したいという声が増えてきたことから、オープンソースとして公開することを決定した。教材用途で開発したため、簡潔なアーキテクチャとソースプログラムの読みやすさを特徴とする。
TOPPERS BASE PLATFORM(ST)は、「STM32F746 Discovery kit」をはじめとするSTマイクロエレクトロニクスの開発ボード12種に対応し、リアルタイムOSに「TOPPERS/ASP カーネル Release 1.9.3」を使用している。
ミドルウェアとして、FatFsを使用したファイルシステム、USBホストデバイスミドルウェア、デバッグモニター機能なども使用できる。さまざまなArduinoシールドと結合したサンプルプログラムを用意し、目的にあった組み込みソフトウェア開発を支援する。
TOPPERS BASE PLATFORM(CV)は、インテルのプログラマブルSoC「Cyclone V SoC」向けのプラットフォームだ。リアルタイムOSは「TOPPERS/FMP カーネルRelease 1.4.0」で、ミドルウェアとして、TOPPERS BASE PLATFORM(ST)と共通の機能に加え、lwIP (lightweight IP)プロトコルスタック対応のEMAC(Ethernet Media Access Controller)ドライバを追加し、有線LANにも対応できる。
両プラットフォームは、GDIC(General Device Interface Component)アーキテクチャにも対応する。同アーキテクチャは既存のドライバを用いた新しいドライバの構築や、ミドルウェアとのインタフェースドライバの構築が可能だ。汎用性があり、後から機能の拡張もできる。
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