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組み込み機器において存在感を増す「組み込みOS」組み込み機器開発入門(6)(1/4 ページ)

機能の高度化が進む組み込み機器において、組み込みOSの利用は珍しいことではありません。OSの果たしている機能と組み込み/汎用OSの違いなどを確認しましょう。

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 この連載ではこれから組み込み機器開発に携わる技術者・エンジニアを目指す方を対象に、組み込み機器開発の入門編として知っておくべき内容を広く説明します。

 第1回では「組み込み機器とは」について、第2回では「組み込みシステム開発」について、第3回では「組み込みシステム開発のこれまでとこれから」、第4回では「組込みソフトウェア開発」、第5回では「組み込みハードウェア開発」について説明しました。

 第6回となる今回は「組み込みOS」について説明します。ここ数年、組み込みシステム開発でもOSを利用することが当たり前となっており、組み込みソフトウェアでも中心的な存在となっています。

⇒「連載バックナンバー」はこちら

OS(オペレーティングシステム)とは

 OS(オペレーティングシステム)というソフトウェアをご存じですか?

「Windows 10」を搭載するタブレット
OS「Windows 10」を搭載するタブレット

 2015年はWindows 10が販売開始されたこともあり、マイクロソフトのWindowsのようなPC用OSは身近な存在と感じる方も多いのではないでしょうか。スマートフォンやタブレットなどに搭載されているAndroid OSや、iPhone/iPadに搭載されているiOSなどの組み込みOSも耳にする機会が多くなりました。しかし多くの場合、OSは「コンピュータの基本ソフトウェア」と紹介されているだけで、実際はどのようなものなのか、どういった役割を持っているのかなどはあまり説明されていないようです。

 OSを“コンピュータのハードウェアを制御、管理するために必要となる基本的な機能を持ったソフトウェア”と表現すれば少しは分かりやすいでしょうか。Windows OSを搭載したPCでディスプレイに文字を表示する場合、Windows OSが持っている文字出力関数を呼び出すことで実現します。データをネットワーク経由で送信する場合には、TCP/IPの送信関数を呼び出すことでネットワーク通信を使ったデータ転送を行います。

 ネットワークでデータを送信している間に、マウス操作で別のプログラムを起動させて、同時に作動させるといったことも可能です。ネットワーク接続、ネットワーク経由のデータ送受信、文字出力などの基本的な機能が集まっているソフトウェアのことを基本ソフトウェア、OSと呼んでいます。

 プログラマー、ソフトウェア開発のエンジニアは機器に必要な機能を実現するため、必要なソフトウェアのうちOSが提供していない機能のみを開発することで、複雑な組み込みシステムを構築しているのです。

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