「モノ」から「コト」を本格化、パナソニックが取り組む新規サービス事業:製造業がサービス業となる日(2/2 ページ)
パナソニックは2018年6月13日、「モノ」から「コト」へシフトする新たなサービスビジネス事業について説明を行った。
効果的な見守りを実現する「スマートエイジングケア事業」
スマートエイジングケア事業は、介護にAIやビッグデータ分析などの先進テクノロジーを導入し、効率的で効果的な自立支援を実現していくことを目指すものだ。現状では、エアコン見守りサービスなどを展開しているが、これらのエアコンなどを含むAIセンシングエッジデバイスで取得した情報を蓄積し、分析などを加えることで、データ利活用サービスを展開する。
既に施設向けサービスとしては、24時間生活分析や睡眠分析などを開始しているが、今後は介護記録やナースコール、センサーやロボットとの組み合わせなど、自立支援分析につながる一連のソリューションをパッケージとして展開していく方針だ。また在宅介護向けのサービスなども導入していく。
取得したデータをしっかり残す「コールドデータセンターサービス事業」
コールドデータセンターサービス事業は、同社の持つ光ディスクデータアーカイブシステム「freeze-ray」を基幹技術とし、データの長期保存を代行するサービスを展開するものである。
光ディスクは、消費電力面やメディアマイグレーション面などで、トータル運用コストを低く抑えながら、長期保存を可能とする。「データ」が新たな価値の源泉となる中で、パナソニックではこの長期保存システムを機器として販売するとともに新たにサービスモデルで展開する。
3つの新規事業を連携させながら成長
パナソニックでは、これらの3つの新規事業をそれぞれ連携させながら成長させていく考えである。島田氏は「従来これらの事業は個々でバラバラに取り組んできた。しかし、データの取得、蓄積、活用、保存という一連のサイクルで考えた場合、シナジー効果を生み出すことができる。それぞれでターゲット市場内で25%前後のシェアを獲得し、将来的に3事業を合わせて500億円の売上高を目指したい」と抱負を述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 越える業種の壁、トライアルが目指す流通革命とパナソニックが目指す工場外自動化
人手不足に悩む流通業界だが、改革を実現するには何が必要だろうか。トライアルカンパニーは、ITとオートメーションの活用に活路を求めた。トライアルカンパニーがパナソニックと組んで取り組む、流通改革の現場を追う。 - プラットフォーマーになれないパナソニックが描いた“勝ち筋”
パナソニック コネクティッドソリューションズ社はこのほど新社長に就任した樋口泰行氏が記者向けの懇談会に登壇。「現場」を基軸とした“ラストワンマイル”にこそ勝算があるとした。 - 製造業は「価値」を提供するが、それが「モノ」である必要はない
製造業が生産する製品を販売するのでなく、サービスとして提供する――。そんな新たなビジネスモデルが注目を集めている。サービタイゼーション(Servitization、サービス化)と呼ばれるこの動きが広がる中、製造業は本当にサービス業に近くなっていくのか。インタビューを通じて“製造業のサービス化”の利点や問題点を洗い出す。本稿では、サービタイゼーションを研究するペンシルバニア大学 教授モリス・コーヘン氏のインタビューをお伝えする。 - 製造業のサービス化、予兆保全は単なる「はじめの一歩」
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第7回は、前回に引き続き「製造業のサービス化」についてご紹介します。 - 乗るしかない、この第4次産業革命というビッグウエーブに
本稿では、第4次産業革命という言葉の持つ意味、第4次産業革命を推し進める「デジタライゼーション」と「デジタルツイン」、第4次産業革命で重要な役割を果たす世代、そして第4次産業革命において日本の持つ可能性などについて解説する。 - 日本版第4次産業革命が進化、製造含む5つの重点分野と3つの横断的政策(前編)
経済産業省は2017年3月に発表した日本版の第4次産業革命のコンセプトである「Connected Industries」を進化させる。より具体的な取り組みを盛り込んだ「Connected Industries 東京イニシアティブ 2017」を新たに発表した。本稿では2回に分けてその内容をお伝えする。