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デジタル製造は既存技術の組み合わせで、SAPがマスカスタマイゼーションを訴求:ハノーバーメッセ2018(2/2 ページ)
SAPはハノーバーメッセ2018に出展し、「Shared Intelligence」をテーマに、設計から製造、アフターサービスまで製品ライフサイクル全てをデジタル化することで得られる柔軟性を訴求。あらためて「情報共有の価値」について紹介した。
2. 金属部品に貼付するワーク情報のパネルを印刷
金属部品に貼付するワーク情報のパネルを印刷するために端末から情報を入力し、印刷を行う。
3. ワーク情報のパネルを自動搬送しAGVに搭載
印刷したワーク情報のパネルをロボットアームとリニア搬送システムの組み合わせで自動搬送し、無人搬送車(AGV)に搭載する。ロボットが搭載されたカメラでパネルの情報を読み取り、注文情報などと照らし合わせて、適切なAGVに搭載する。
4. AGVを活用した柔軟な組み立て作業
工程作業間を自由に動き回るAGVが、「SAP ME」の指示により柔軟に工程作業間を動き回り、金属部品の組み立てを実現する。
AGVへの指示は、注文時のSAP Hybrisの情報をHANA経由でSAPの製造実行システム(MES)である「SAP ME」に送り、実行している。
プロセス製造業でもマスカスタマイゼーション
同様のマスカスタマイゼーションとして、プロセス製造業をイメージした飲料品の模擬ラインも用意。その場で注文したカスタム製品がすぐに生産される様子を示した。
SAPジャパン インダストリーバリューエンジニアリング事業統括本部 インダストリープリンシパルの柳浦健一郎氏は「デジタル製造によるマスカスタマイゼーションの実現は着実に現実的なものに近づいてきており、ユーザーからの関心も実現に向けた具体的なものに変わってきている。自動車部品やプロセス産業など適用範囲も広がっており、そういう状況を訴えた」と述べている。
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