三菱電機のFAシステム事業、2025年度に売上高1兆円の生産体制を構築へ:FAニュース(4/4 ページ)
三菱電機がFAシステム事業の戦略について説明。同事業の2017年度売上高は、自動化やIoT化に向けた国内外の旺盛な設備投資需要を受けて好調で過去最高を更新する見通し。中長期の事業目標として2025年度の売上高を9000億円以上するとともに、生産能力としては2025年度時点で売上高1兆円の体制を整備するとした。
中国市場で勝負を分けるのは「“安心”を売っていく営業力」
成長戦略では地域戦略も重視している。日本国内は、ベースロード市場として事業体制を強化する。2018年7月には、東京・秋葉原に「東日本FAソリューションセンター(仮)」を新設する。同社のFA機器製品の展示場としては、東日本で初となる。この他、2017年4月に新設した約150人から成るソリューション専任部門の展開を加速するとともに、2018年度に50周年を迎える機器特約店会、2019年度に50周年を迎える菱盤会、ユーザー会員が加盟するFATECクラブなどを中心に関係強化を図る。
中国は海外最重点市場として、販売、開発、製造、サービスのリソース強化を進める。中国製造2025を契機にIoT市場での地位を確立し、先述した智能製造モデルラインなど政府系案件でのe-F@ctoryの採用を広げる。現地体制の強化では、営業、製造、設計、サービスの人員を、2017年度の約2200人から2018年度は約2600人に増やす。販売会社のe-F@ctory部門の人員倍増、販売拠点を4拠点に拡大し、2018年度からロボットの現地生産(常熟地区)も行う。
宮田氏は「地味な活動が多く、大手企業との提携のような華々しい話はあまりない。しかし、FA製品を売っていく上では、FA製品を用いて装置を開発する装置メーカーだけでなく、その装置のユーザーなど多面的な営業が重要になる。中国市場でもこの営業力で勝負が決まるだろう。華々しい話よりも、20年、30年とFA製品を使い続けたいと考えているユーザーをきちんとサポートする体制を含めて“安心”を売っていく営業力こそが重要だ」と語る。
韓国と台湾では2018年3月にe-F@ctoryアライアンス会を発足させた。それぞれ70社を目標にパートナー拡大を進めている。またアセアンについては「まだまだ売り上げは小さいが、成長性が高いので事業体制を強化したい」(宮田氏)としている。インドについても、経済成長と製造業高度化を見据えた事業体制強化を進める。インドの新生産拠点も、この強化策の一環となる。欧州と米国は、それぞれ展開しているFA開発センターを活用した情報収集や技術動向調査を行う。
この他M&Aについては、過去5年間で技術力強化11件、販売網拡大8件を実施したことを強調。宮田氏は「製品群、技術領域などの補完、販売網、サービス網確保、新規顧客層獲得という3つの方針を基に進めてきた。今後もこれらの方針に基づいて積極的にM&Aを行いたい」と述べている。
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