アラスがPLMのカバー範囲を拡張、システムズエンジニアリングに加えMESやMROも:製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)
好調を維持しているPLMベンダーのアラスだが、IoT時代を迎えた製造業に対してさらなる提案を行うべく、Aras Innovatorを「製品イノベーションプラットフォーム」に進化させるための取り組みを加速させている。これまでもシステムズエンジニアリングなどに注力してきたが、さらにMESやMROもカバーしていく方針だ。
複雑化するシステムを扱うための機能を拡充
製品イノベーションプラットフォームとは別に、Aras Innovatorの機能拡充も続けている。従来のアクセス制御は役割ベースで行っていたが、これを属性ベースで行えるようになった。今後は、プロジェクトベースのアクセス制御についても可能になるという。
また、マスカスタマイゼーションという言葉に代表されるように、顧客が求めるようなカスタマイズが可能な豊富なオプションを用意することが求められるようになっている。その一方で、そのオプションによって起こるBOM(部品表)の組み換えを、サービスBOMやM-BOMにも反映する必要がある。これらのオプションによるバリエーションを、テキストベースのルールエディターとツリー構造で管理するのが「Configurator Services」だ。現在は、サンプルアプリケーションの提供にとどまっているが、今後は本格的な機能としてブラッシュアップしていく方針である。
また、パーツ管理で重要になる適用日を管理する「Effectivity Services」や、ソフトウェアのバージョン管理で広く用いられているブランチとマージを機械設計でも利用できるようにする「Brach & Merge」、他社PLMとの連携を可能にする「Synchronization Service」なども用意している。
久次氏は「IoT時代を迎えて複雑化するシステムを扱えるように、さまざまな形でAras Innovatorの機能拡充を進めていく」と述べている。
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