アラスがPLMのカバー範囲を拡張、システムズエンジニアリングに加えMESやMROも:製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)
好調を維持しているPLMベンダーのアラスだが、IoT時代を迎えた製造業に対してさらなる提案を行うべく、Aras Innovatorを「製品イノベーションプラットフォーム」に進化させるための取り組みを加速させている。これまでもシステムズエンジニアリングなどに注力してきたが、さらにMESやMROもカバーしていく方針だ。
PLMプラットフォーム「Aras Innovator」を展開するアラス(Aras)が、さらなる事業拡大に向けた布石を打ち始めている。グローバルの売上高は、2017年も前年比40〜50%増と大幅な伸びになる見込みで、2018年2月にはBMWがテストデータ管理のバックボーンにAras Innovatorを採用したことを発表するなど好調に推移している。
PLMプラットフォームとしての評価も高まっており、Forrester Waveの2017年第4四半期の評価調査によると、ダッソー・システムズ、PTCに次ぐポジションを得たという。つまり、3大PLMの残り1社であるシーメンスPLMソフトウェアを上回ったことになる。
事業が成長軌道に乗っているアラスだが、IoT(モノのインターネット)時代を迎えた製造業に対してさらなる提案を行うべく、Aras Innovatorを「製品イノベーションプラットフォーム(Product Innovation Platform)」に進化させるための取り組みを加速させている。日本法人・アラスジャパン 社長の久次昌彦氏は「製品を設計開発するためのPLMプラットフォームだったわけだが、設計開発は、スマートファクトリーで工場と直接つながり、市場に投入した製品もIoTでつながる時代になりつつある。このIoT時代に最適な製品の開発から製造、市場投入、そしてサービス提供までをサポートするには、プラットフォームとしてPLMがカバーする範囲をさらに拡張していく必要がある。それが製品イノベーションプラットフォームという考え方だ」と語る。
Aras Innovatorの機能は、従来のPLMで求められてきたPE(製品エンジニアリング)、VM(バリエーション管理)、MPP(製品プロセス計画)、QMS(品質管理システム)などから構成されている。さらにアラスは、IoTによってシステムとシステムがつながるより複雑なシステムの開発に対応するべく、RM(要件管理)やSE(システムズエンジニアリング)への対応を進めてきた(関連記事:アラスの“新たなPLM”が「フルライフサイクルトレーサビリティー」を実現する)。
今後は製品イノベーションプラットフォームとしての機能を満たせるように、MES(製造実行システム)やMRO(メンテナンス、修理、オーバーホール)もカバーしていく方針だ。MROについては2018年1月、航空機業界向けにMROを展開していたInfospectrumのImpresa事業を買収した(関連記事:MRO事業を買収し、PLMを保守サービスの領域へと拡張)。「ImpresaのノウハウをAras Innovatorに移植する。これを足掛かりに、MROのみならず、顧客がIoTを活用した製品の“つながるサービス”を提供するのに役立つような機能にも仕立てていきたい」(久次氏)という。MESについても、現時点で情報は公開できないものの、水面下でさまざまな取り組みを進めているとする。
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