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アラスの“新たなPLM”が「フルライフサイクルトレーサビリティー」を実現する製造マネジメント インタビュー(1/2 ページ)

PLMプラットフォーム「Aras Innovator」を展開するAras(アラス)が事業拡大を推し進めている。大手メーカーからの採用を決め、図研やIBMともパートナー契約を結んだ。さらに、IoT時代に対応した“新たなPLM”の開発を進めているという。

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アラスジャパンの久次昌彦氏
アラスジャパンの久次昌彦氏

 PLMプラットフォーム「Aras Innovator」を展開するAras(アラス)が事業拡大を推し進めている。グローバルの売上高は、2016年が2015年比で60%増となり、直近3年間の平均成長率も70%となった。

 大手メーカーからの採用も続々と決まっている。富士フイルムの医療機器部門や、軍艦などを製造するHuntington Ingalls Industries、日産自動車、米国と英国のホンダ、Saabからスピンアウトした電気自動車メーカーNEVSなどだ。日本法人であるアラスジャパン 社長の久次昌彦氏は「日本でも自動車メーカーからの引き合いは強い。現在、受注一歩手前まできているので、公表できるところまでこぎつけたい」と語る。

 最もインパクトが大きかったのが、2016年末に発表されたGM(General Motors)の採用だろう。5万ユーザーを対象に、Aras Innovatorを使ったBOM(部品表)の再構築プロジェクトが始まった。GMはこれまで、PLMにシーメンスの「Teamcenter」を採用していたが、今後はCADデータや設計変更の管理にTeamcenterを、BOMなどの管理にAras Innovatorを使うという分担になる。「Aras InnovatorとTeamcenterを1年間かけて比較した上で決定された」(久次氏)。

図研、IBMがパートナーに

 2016年はパートナーの連携も大きく広がった1年だった。まず2016年8月に、図研との間でパートナー契約を締結した。3D CADなどによるメカ設計データの管理を得意とするAras Innovatorと、「CR-5000/8000」など電気CADの設計データ管理に力を発揮する図研のPLM「DS-2」をシームレスに連携できるようにしていく。2017年7月を目標に、この連携を実現できるように開発が進められている。

 久次氏は「メカ設計データと、電気CADなどのエレクトロニクス関連の設計データを連携した開発を行いたいという要求は強くなっている。図研とのパートナー契約は、両社共通の大口顧客の要望を実現するためでもある」と説明する。

 さらに2016年11月、IBMのWatson IoT事業部門との間でリセラー契約を締結した。IBMと言えば、ダッソー・システムズ(Dassault Systemes)との間でPLMなどの販売契約を結んでいたが、2009年10月にPLM販売事業をダッソーに売却。PLM事業から撤退していた。今回のアラスとの提携でIBMはPLM事業に再参入することになる。

 IBMは、Rational製品を中心としたALM(アプリケーションライフサイクル管理)製品群や、人工知能「Watson」などを組み合わせたコンティニュアスエンジニアリング(Continuous Engineering)を推進している。「しかし、その価値を最大化するにはやはりPLMが必要だった。OSLC(Open Services for Lifecycle Collaboration)などのオープンソースに注力する姿勢が共通するアラスと協業するのは必然だったと言っていいだろう」(久次氏)という。

アラスの2016年の成果
アラスの2016年の成果(クリックで拡大) 出典:アラスジャパン

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