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非可聴音で個人を識別できるように耳音響認証技術を強化:ウェアラブルニュース
NECは、長岡工業高等専門学校と協力し、人間の耳には聞こえない非可聴域の高周波(18k〜48kHz)音で個人認証する技術を開発した。
NECは2018年2月27日、長岡工業高等専門学校と協力し、人間の耳には聞こえない非可聴音で個人を認証する技術を開発したと発表した。外耳道で起きる反射音の個人差を測定するバイオメトリクス認証「耳音響認証」の技術を強化したものとなる。
従来の耳音響認証では、人間の耳に聞こえる可聴音が出てしまうという問題があった。新技術では、非可聴域の高周波(18k〜48kHz)音を利用。マイク一体型イヤフォンから非可聴音を外耳道に送出し、その反射音を分析して個人の特徴を抽出する。特に30k〜40kHzの周波数帯の反射音は、個人に特有の特徴を抽出しやすくなっている。
ただし高周波音は、周囲の電気機器やイヤフォン自体の高周波ノイズの影響を受けやすく、外耳道の内壁に吸収されやすい。これまでは反射音を正確に取得するのが困難だった。
そこでNECは、短時間同期加算法と対数フィルタバンク法という手法を開発。高周波の音響特性を正確かつ安定的に測定できるようにした。
NECは同年度中に本技術の実用化を目指す。耳を使った耳音響認証は、ハンズフリーで常時認証が可能。作業中に継続して本人確認ができ、ユーザーのすり替わりを防止する。そうした利点から、重要インフラ施設の保守・管理や警備などでのなりすまし防止、医療現場やコールセンターなどでのハンズフリー認証による業務効率化、スマートイヤフォン領域などでの利用が見込まれるという。
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