つながらない産業システム、OSをアップグレードせず新ハードへ移行するサービス、金剛鋲螺が活用:製造ITニュース
ファナティックは金剛鋲螺で「P2P型ハード入替サービス」が利用されたことを発表。経年劣化したハードウェアをファナティックが製造したハードウェアに既存のOSやアプリケーションを移し替えた上でリプレイスできる。OSのアップグレードが必要ではないため、金剛鋲螺ではOSをアップグレードする従来手段と比較して費用が5分の1に抑えられたという。
ファナティックは2018年2月7日、金剛鋲螺で「P2P型ハード入替サービス」が採用されたことを発表した。P2P型ハード入替サービスは、経年劣化したハードウェアを、ファナティックが製造したハードウェアに既存のOSやアプリケーションを移し替えた上でリプレイスすることが可能だ。「P2P」は「Physical to Physical(物理から物理)」の意味。ハードウェアメーカーのファナティックはオーダーメイドのサーバやストレージ機器を国内の自社工場で製造する。
線材・鋲螺製品の総合メーカーの金剛鋲螺では、2002年から村田機械(ムラテック)のパレット自動倉庫を導入し、入出荷業務の効率化および合理化を図ってきた。同システムは、入出荷指示を行うNEC製のサーバ2台と、自動倉庫を制御するためのDELL製の制御端末10台で構成される。サーバOSは「Windows Server 2003」。OSのサポートは終了し、サーバ本体もまた老朽化しかつメーカー保守有効期限も失効していたため、システムのリプレイスを検討しなければならなかった。
自動倉庫システムではシリアル通信が使われていることから、システムを仮想化し延命する方法は採用できない。OSのバージョンアップと、新版OSに対応したサーバへの入れ替えや、アプリケーションの入れ替えに対応すると、高額な費用が発生する。
P2P型ハード入替サービスは、ファナティックが現行システムの仕様に合わせてハードウェアを製作するため、OSのバージョンアップが必須ではなく、かつ利用中のアプリケーションや周辺機器も改修せずに利用できるため、最小限のコストでシステム延命が図れるとしている。金剛鋲螺の場合はP2P型ハード入替サービスを利用したことで、従来のOSやサーバなどをアップグレードするリプレイス方法と比較してリプレイス費用が約5分の1まで抑えられたという。
一般的に、自動倉庫システムのような制御系システムでは、納入会社がサーバ・制御端末・機械装置を一括して保守サポートや更新対応を実施する。システムを切り分けて、部分的に他の会社に委託することが難しいとされる。今回は、金剛鋲螺が主導し、自動倉庫システムの納入会社、ファナティックと共に、自動倉庫システムの運用における守備範囲の切り分けと保守体制を確立した。
産業システムにおいては、インターネット接続して運用するような、いわゆる“つながる”最新システムの導入を進めていく一方で、既存の“つながらない”古いシステムの延命も課題となる。製品寿命や償却年数の長い機器とOSの更新時期を合わせたいというニーズも見られる。インターネットに接続しない機器で、かつ最新OSによるメリットの享受があまり見込めない場合において、ファナティックでは既存のリプレイス方法以外の選択肢としてP2P型ハード入替サービスを提供していく。
ファナティックが移行実績のあるOSとしては、Windows Server2003、2000、NT4.0、XPといった旧Windows系OSの他、Red Hat、CentOS、VMwareなどLinux系OSなどを挙げている。アプリケーションやハードウェアの種別も問わないとしている。
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