金属3Dプリンタ市場は世界的には成長傾向、日本は規模が小さく成長も鈍い:3Dプリンタニュース
富士経済は金属3Dプリンタの市場動向の概要について発表。金属3Dプリンタの世界市場について、2017年は622億円で2016年比の124.9%の成長率となる。さらに、2022年には1595億円で、2016年比で3.2倍に成長する見通し。ただし日本においては導入事例が少なく、市場規模も小さく、かつ成長も鈍い。
富士経済は2018年1月26日、金属加工機械の市場動向に関する調査「メタルプロセッシング・インダストリー関連市場の全貌 2018」で、金属3Dプリンタの市場動向の概要について発表した。
富士経済によれば、金属3Dプリンタの世界市場について、2015年、2016年と横ばいできたものの、2017年は622億円で2016年比の124.9%の成長率となる見込み。さらに、2022年には1595億円で、2016年比で3.2倍に成長すると予測している。
欧州や米国を中心に、研究開発用途から自動車関連や航空・宇宙関連分野などでの部品製造用途まで採用が進みつつある。自動車や航空機、医療機器などの特殊仕様部品の製造、コンフォーマルクーリング構造金型用途などだ。現状の技術では量産には不向きで、個別生産や少量多品種生産金型で利用されている。アジア地域においては、国からの補助金で製品普及を促す政策が見られ、海外市場は引き続きの拡大が見込まれるという。
世界の市場と比較すれば日本は導入事例が少なく、市場規模も小さく、かつ成長も鈍い。日本においては大学などの研究・教育などでの利用や防衛関連での採用が多い。民間企業では大手の研究開発部門を中心として導入が進む一方、金型や部品製造用途ではまだ導入が進んでいない傾向だという。そのような背景から、国産メーカーの中には海外市場に注力するケースが見られる。富士経済は、「今後は企業内の研究開発用途にとどまらず、アカデミック利用や防衛関連など、産学官連携による幅広い分野間での研究開発を促すことが日本市場拡大には必要」と述べている。
装置においては、最近は焼結技術が飛躍的に向上し、成形物が大幅に品質向上しているという。造形用の粉末材料は、チタンやインコネル、銅など多様化している傾向だという。
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