次世代LabVIEW「NXG」がバージョンアップ、開発したUIをWeb形式で配布可能に:組み込み開発ニュース
日本NIは、エンジニアリングシステム設計ソフトウェア「LabVIEW」の次世代製品である「LabVIEW NXG」の最新バージョン「NXG 2.0」を発表。自動テスト/計測システム構築の工数削減を可能にする機能強化を図ったことが特徴だ。
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は2018年1月25日、東京都内で会見を開き、エンジニアリングシステム設計ソフトウェア「LabVIEW」の次世代製品である「LabVIEW NXG」の最新バージョン「NXG 2.0」について説明した。現行のLabVIEWである「LabVIEW 2017」とセットで提供される。価格は、1年間のサブスクリプションライセンス契約となる「LabVIEWベースパッケージ」の6万7600円から。
National Instruments(NI)は2017年5月開催のユーザーカンファレンス「NIWeek 2017」でLabVIEW NXGを発表。LabVIEWがPCを用いたプログラミングによって計測が難しいものを計測できるようにしていたのに対し、LabVIEW NXGはプログラミングをすることなく計測できることを特徴としている。ただし、最初のバージョンとなる「NXG 1.0」の機能は、プログラミングが不要になることによるテストを開始するまでの時間の短縮などに限定されており、他の機能はセットで提供されるLabVIEWを用いる必要があった。日本NI フィールドマーケティングエンジニアの井関邦江氏は「NXG 2.0は、自動テスト/計測システム構築の工数削減を可能にする機能強化を図った」と説明する。
NXG 1.0からの強化ポイントは大まかに分けて3つある。1つ目は「テストシステムのセットアップ/構成時間を短縮」だ。テストシステムの構築では、複数のベンダーの計測器を選んで組み合わせるのが一般的だ。LabVIEW NXGが目指す「プログラミングすることなく計測できる」を実現するには、NI製の計測器だけでなく、他社の計測器についても、ハードウェア情報の取得、ドライバの特定、セットアップの検証を行える必要がある。NXG 2.0では、約1000種類の他社計測器や、NIのPXI規格に準拠する多くの計測モジュールなど、対応ハードウェアを拡張。新機能となる「SystemDesigner」によって、これらのハードウェアの自動検出やドライバインストールがスムーズに行える。
またSystemDesignerでは、計測対象となるハードウェアからの信号がテストシステムとどのようにつながっているかをグラフィックスや線図などによって示す文書の作成も可能になった。「LabVIEWでは『MAX(Measurement & Automation Explorer)』という別のソフトウェアが必要だったが、NXG 2.0ではSystemDesignerの中で全て完結できる」(井関氏)という。
2つ目は「テストソフトウェアの統合を強化」で、自動テストシステムの開発や管理に用いるソフトウェア「NI TestStand」向けにテストアプリケーションを配布できるようになるとともに、解析に関わる機能を強化した。
3つ目は「適切なテストデータを適切なユーザーに提供」である。新機能の「LabVIEW NXG Web Module」により、LabVIEW NXGで作成したテストシステムのUI(ユーザーインタフェース)をHTMLやJavaScriptに自動変換して配布できるようにした。これにより、開発したテストシステムをより多くのユーザーに利用してもらえるようになる。
LabVIEW NXG Web Moduleは、HTMLやJavaScriptへの自動変換と編集が行える「WebVI」の他、Webを経由した通信を調整するデータサービス、クラウドやオンプレミスでUIを効率的にホストするWebサーバなどから構成されている。
NXG 2.0の発表に合わせて、顧客であるSamsung SDIから「テストシステムを構築する際にLabVIEWとLabVIEW NXGを併用し、それぞれの長所を生かしている」というコメントがあった。井関氏は「グローバルで約100社/約700ユーザーにLabVIEWとLabVIEW NXGを併用してもらい、高い評価を得ている。ただし、日本国内での浸透は海外に比べて若干スローかもしれない」と述べている。
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