サービス産業の現場での「おもてなし」スキルを標準・体系化:製造マネジメントニュース
経済産業省は、サービス品質の見える化や高付加価値化に向けて、サービス産業に携わる現場人材のスキルを標準化、体系化した「おもてなしスキルスタンダード」を策定した。
経済産業省は2017年12月27日、サービス品質の見える化や高付加価値化に向けて、サービス産業に携わる現場人材のスキルを標準化、体系化した「おもてなしスキルスタンダード」を策定したと発表した。
今回の策定は、サービス産業における次世代の経営人材の育成を目指す、同省の「中小企業、小規模事業者人材対策事業(カイゼン指導者育成事業)」によるものだ。
策定に当たり、必要とされる4つの視点として「顧客」「同僚、チーム、仲間等」「地域社会」「継続、向上」を挙げる。これらの視点を踏まえて、客の期待を元に、現場の仲間などが力を引き出し合い、地域社会と共生しながら向上し続けていくという、実行プロセスを示す理念をまとめている。
その理念を踏まえ、サービス産業の現場人材に横断的に求められるスキルなどを「マインドセット」「接客接遇スキル」「業務オペレーションスキル」「ユニバーサル・ダイバーシティスキル」「仕組みづくり」というそれぞれの観点から、ベーシックとアドバンスの2段階の到達度に分けてリストアップしている。
例えば「マインドセット」の「おもてなしマインド」では、到達度のベーシックが「日本のおもてなしの背景を知り、ホスピタリティやしつらえなどを含む、おもてなしの概念について理解している」とされ、アドバンスではそれに加えて、「自らの業務に関連付けて顧客へのアクションとして体現することができる」となっている。
また「ユニバーサル・ダイバーシティスキル」の「ダイバーシティスキル」では、アドバンスの到達度を「出身国や属する文化により考え方や行動が異なることを認識する。来日数の多い国、文化の特性を知る。あいさつや簡単な案内など接客外国語の基本を知ったうえで、状況に応じて適切に対処できる」としている。
AI(人工知能)やロボットによって多くの雇用が代替されていく可能性が指摘されるなか、同省では、サービス産業において特に高付加価値市場の創出が必要であるとする。今回の策定により、スキル向上や新たなスキルの獲得を通じ、非定型で高付加価値型のサービスを提供できる人材の育成を目指す。
2018年1月から3月にかけて、おもてなしスキルスタンダードの項目を満たす人材育成プログラムが実施される。また今後、到達度に応じて、各種検定や人材育成プログラムへ反映させるなど、現場で活用する上でより実用性の高い仕組みにしていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 製造業は「価値」を提供するが、それが「モノ」である必要はない
製造業が生産する製品を販売するのでなく、サービスとして提供する――。そんな新たなビジネスモデルが注目を集めている。サービタイゼーション(Servitization、サービス化)と呼ばれるこの動きが広がる中、製造業は本当にサービス業に近くなっていくのか。インタビューを通じて“製造業のサービス化”の利点や問題点を洗い出す。本稿では、サービタイゼーションを研究するペンシルバニア大学 教授モリス・コーヘン氏のインタビューをお伝えする。 - 製造業のサービス化、予兆保全は単なる「はじめの一歩」
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第7回は、前回に引き続き「製造業のサービス化」についてご紹介します。 - 「アメーバ経営」とは何か
グローバル競争の激化により多くの日系製造業が苦しむ中、にわかに注目を浴びているのが「アメーバ経営」だ。京セラをグローバル企業に押し上げ、会社更生法適用となったJALを復活させた原動力は何だったのか。本連載では、「アメーバ経営とは何か」を解説するとともに、その効果を示す事例としてJAL整備工場での変化について紹介する。第1回となる今回は「アメーバ経営」そのものを紹介する。 - その改善はトヨタ生産方式の「本質」を外している
自動車業界のみならず、今やさまざまな製造業で活用されている「トヨタ生産方式」。しかし、今伝えられているトヨタ生産方式の多くは本質を誤解したものーーと指摘するのがエフ・ピー・エム研究所の鈴村尚久氏だ。大野耐一氏とともにトヨタ生産方式を作り上げた父・鈴村喜久男氏の長男であり、自身も長年にわたってトヨタ自動車で生産改善活動に従事。その後100社以上の企業の改善活動を支援してきた鈴村氏。本「道場」ではトヨタ流改革の本質を知る同氏が、日本の製造業が抱えるさまざまな「悩み」と「課題」を斬る。 - 例題で理解する「そもそもシックスシグマって何だっけ?」
シックスシグマは改善のための重要ワード。でも、どう導入すればいいのか、どう考えるかを理解していますか? 簡単な例題から確認を