AIで金型加工を自動制御、熟練工のノウハウを注入し加工時間を40%削減:スマートファクトリー(3/3 ページ)
オムロンは、製造現場の知能化を進めるIoT基盤「i-BELT」の実証事例として、草津工場の金型加工工程と、綾部工場の近接スイッチモジュール組み立て工程での成果について紹介した。
組み立て工程のチョコ停予防を実現
「i-BELT」で自動制御まで行った草津工場での取り組みに対し、綾部工場での取り組みは、「i-BELT」を活用したチョコ停の予兆把握と、計画保全である。
綾部工場では近接スイッチの生産工程において、不定期にチョコ停が散発する状況に課題感があった。チョコ停が不定期に発生するために作業員が突発的な復旧対応に追われ、生産効率が落ちるという課題だ。
そのチョコ停が発生する工程の1つがロボットによる自動組み立て工程だった。そこで、ロボットによる組み立て設備にレーザー変位センサーを設置して常時監視を行い、「i-BELT」によりパッケージ化した「設備予兆監視システム」を導入。データを蓄積し、因果関係を探っていった。
その結果、安定していると思われたデータを拡大すると実はばらつきが生まれていることを発見したという。
最終的に、ロボットの組み立て時の位置ズレによるワークの接触量の大きさが、チョコ停の要因になっていることが分かったという。オムロン綾部工場で使用しているロボットは導入から13年がたっており、設定後に徐々に位置がズレてしまう。組み立て時にはワークに沿わせる形でロボットのハンドがつかむが、この接触量が大きくなれば、ワークを傷つけたり、ロボットの位置ズレが大きくなる。その結果、不具合品の発生につながり、チョコ停へとつながっていたということが分かったという。
これらから、変位センサーのデータ変動の特徴量を抽出することで、不具合が発生する予兆を把握。それにより、不定期のチョコ停から、計画保全へと移行することに成功した。結果として、チョコ停による停止時間を月間45時間削減するのに成功した他、部品ロスも月間1万3000円分削減できたという。綾部工場では現在、実証によりこれらの設備予兆監視システムの成果を確認できたため、導入ラインを3つに増やして実稼働を開始している。
また、設備予兆監視システムは既にオムロンのコントローラーをベースとして、パッケージ化して提案を進めているところだが、導入事例も生まれているという。今後はさらに自社内での活用の幅を広げるとともに、センサー数などを増やして異常の原因を掘り下げる深化などにも取り組んでいく方針を示している。
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