深層学習プログラムの統合開発環境クラウド版、無償提供開始:人工知能ニュース
ソニーは、深層学習プログラムの統合開発環境コンソールソフトウェア「Neural Network Console」のクラウドサービスを、オープンβ版として無償で提供を開始した。インストールが不要で、さまざまなOSで利用できるようになる。
ソニーは2017年11月8日、深層学習プログラムの統合開発環境コンソールソフトウェア「Neural Network Console」のクラウドサービスを、オープンβ版として無償で提供を開始した。ニューラルネットワークの設計、学習、評価などを効率的に行いながら深層学習プログラムを開発し、各種製品やサービスに搭載できる。
同社は、同年6月に深層学習発のためのコアライブラリー「Neural Network Libraries」をオープンソース化し、同年8月にWindows OSのみに対応するNeural Network Consoleの無償提供を開始した。今回提供するのは、Neural Network ConsoleをWebブラウザから利用可能にしたもので、専用アプリケーションをインストールすることなく、Mac OSやLinux OSなどのさまざまなOSで利用できるようになる。
現在、一般的な深層学習のプログラミングは、ニューラルネットワークの構造をプログラムのコードに記述し、それを関数ブロックとして組み合わせることで構築している。Neural Network Consoleでは、この概念を簡便な形でGUI上に表現。コンソールソフトウェア画面上にあらかじめコンポーネントの状態でレイヤー(関数ブロック)を用意し、それらをGUI上で配置することでニューラルネットワークを容易に構築できる。これにより、プログラム開発の効率が向上し、深層学習初心者でもコアライブラリーの機能を視覚的に確認しながら、短期間でプログラミングの技術を習得できる。
学習した結果は、ダウンロードしてNeural Network Librariesで実行可能。Windows版のNeural Network Consoleとのプロジェクトのやりとりにも対応している。なお、無償のオープンβ版は、1アカウントあたり10時間のCPU学習、10GBのストレージ、10のプロジェクトという制約がある。
同社では今後、高速な学習の実行や、複数のプロジェクトの学習を同時進行させたいユーザー向けに、複数のGPUを用いた高速演算が可能な機能などを有償で提供する予定だ。
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