プロジェクターで作業指示、生産性を1.5倍にする組み立て屋台:スマートファクトリー
OKIはユーザーイベント「OKI PREMIUM FAIR 2017」において、人手による組み立てセル生産の効率化を低コストで実現する「プロジェクションアセンブリーシステム」を参考出展した。
OKIはユーザーイベント「OKI PREMIUM FAIR 2017」(2017年11月16〜17日)において、人手による組み立てセル生産の効率化を低コストで実現する「プロジェクションアセンブリーシステム」を参考出展した。
「プロジェクションアセンブリーシステム」は、生産工程の中で人手によるセル生産を想定し、作業を支援する屋台型のシステムである。カメラによるセンシングにより、ピックアップする部品を作業指示書に合わせてプロジェクターで明示し、ピックアップする部品の指示を行ったり、組み立て作業内容を動画で示したりすることができる。
具体的には、プロジェクターを使って手順通りに必要な部品の棚を指し示し、さらにその作業内容を作業台に表示する。組み立てが終わり次の部品を取るとその動きをカメラによりセンシングし、次の作業内容が表示されるという流れである。
同時に作業映像を作業工程と合わせて保存できるために、改善活動や技術伝承などにも活用可能である。さらに、作業効率を考慮した設計へとフィードバックを行うことなども可能だとしている。
同システムの優れている点は、プロジェクターやUSBカメラなど、一般の家電量販店でも売っているような汎用(はんよう)品を使って作っているという点である。そのためコストを大幅に低減することができているという。同システムはATMなどを製造するOKIメカトロシステム工場(富岡工場)で開発され、同工場内では既に100台ほどの同システムが稼働しているという。「生産性も上がっており、1年で1.5倍に向上した」と説明員は効果について述べている。
OKIでは、自社工場の生産性改善やノウハウの共有を目指して、グループ内の表彰を行う「生産改革大賞」などを実施しているが、2016年末に発表された「第6回 OKIグループ生産改革大賞」で同システムは最優秀賞を受賞している。
今後は、さらに他の工場などへの展開や、外部販売なども検討しているとはいうが「センシングの精度や棚の数や形状、ソフトウェアとハードウェアのバランスなど技術的には課題も多く、効果的な活用方法を模索していきたい」と説明員は今後について述べていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマート工場の土台に、OKIがグループ内で生産改革大賞
OKIは自社グループの生産革新活動について、グループ内で表彰を行う「生産改革大賞」を実施した。今回からサブテーマとして「みえる、つながる、いきる」を置き、将来的なOKIグループ発のスマート工場モデルの土台としていく考えだ。 - 「世界で最も現実的なインダストリー4.0」を目指すオムロンの勝算(後編)
オムロンはFA事業戦略を発表し、同社が考えるモノづくり革新のコンセプト「i-Automation」について紹介するとともに、これらのコンセプトを実践している同社草津工場の取り組みを紹介した。後編ではオムロン草津工場におけるIoT活用の実践の様子をお伝えする。 - 製造の未来を切り開くロボットセルの価値と課題
ロボットが多能熟練工になる!? ――。装置型産業における生産の自動化が進む一方、人手による作業が多かった組み立て生産領域の自動化が急速に進もうとしている。そのキーワードとなっているのが「ロボットセル」だ。ロボットがセル生産を行う「ロボットセル」はどのような価値をもたらし、どのような課題を残しているのか。日本ロボット学会会長の小平紀生氏が解説する。 - スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。 - 製造業をカイゼンできるのはIoTだけじゃない、“からくり”がもたらす安全と効率
ロボットを導入するのは難しいが、手作業では効率化や安全性に課題がある……生産ラインのそんな困りごとを解決するのが「からくり」だ。動力に頼らず、ワークの自重やシンプルな動きを利用することで、安全に効率を高められる。知恵と発想がつまったからくりの数々を紹介する。 - ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】
「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」という言葉をご存じだろうか? 「インダストリー4.0」は、ドイツ政府が産官学の総力を結集しモノづくりの高度化を目指す戦略的プロジェクトだ。インダストリー4.0とは何なのか。同プロジェクトに参画するドイツBeckhoff Automationグループに所属する筆者が解説する。 - インダストリー4.0の地味化はいい傾向?悪い傾向?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第13回となる今回は、2017年4月に開催されたドイツの「ハノーバーメッセ 2017」で見えた傾向についてまとめます。