点ではなく線を活用、有害ガスの漏出を早期検知できる光センシング技術:ET2017
NECは「Embedded Technology 2017」「IoT Technology 2017」で、有害ガスの漏出などを早期検知できる光センシング技術を紹介した。同技術は「ET/IoT Technologyアワード」において「Embedded Technology優秀賞」を受賞している。
NECは、2017年11月15〜17日にパシフィコ横浜(横浜市)で開催された組み込み関連技術の展示会「Embedded Technology 2017(ET2017)」とIoT関連技術の展示会「IoT Technology 2017」において、有害ガスの漏出などを早期検知できる光センシング技術を紹介した。同技術は「ET/IoT Technologyアワード」において「Embedded Technology優秀賞」を受賞している。
NECが開発したレーザーガスセンサーは、従来はセンサーの設置箇所周辺の「点」でのセンシングだけだった気体の検知を、レーザーを活用することでその間を「線」でセンシングするという仕組みである。1つのシステムで大気中のガスの種類や濃度、環境温度など複数項目の測定が可能で、既存システムに比べ応答速度が速いという特徴なども備えている。
プラントなどの大型設備では、有害ガスの漏出を検知するために、多数のセンサーを設置する必要があったが、新技術を活用することで、レーザーを放出する親機と反射させる子機の間の数十mを1セットでセンシングすることが可能となる。実証では「200〜300mの距離でもセンシング可能だった」とブース説明員は述べる。
例えば、可燃性ガスを扱う施設などで使用する機器は防爆認定を受けないといけないが、新技術は「線」で検知する仕組みのため、防爆エリア外からガス検知を行うことなども可能だ。
このNECのレーザーガスセンサーだが、既に「技術的な障壁はほぼない」(ブース説明員)としており、展示会などを通じてニーズを確認でき次第、商品化を進めるとしている。ブース説明員は「2〜3年以内に商品化を実現したい」と抱負を述べていた。
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