国産有機ELディスプレイ、それはうたかたの夢か
間もなく発売される「iPhone X」が採用したこともあって、有機ELディスプレイに注目が集まっています。IHSマークイットが2017年10月24日に発表した、有機ELディスプレイの生産能力予測では、2017年の1190万m2から2022年には4倍以上の5010万m2に増加するとのことです。また、薄型ディスプレイの市場(金額)全体で見ると、2017年時点では液晶ディスプレイが80%、有機ELディスプレイが19%ですが、2022年には液晶ディスプレイが61%、有機ELディスプレイが39%となるそうです。
この急激な成長の原動力になるのが、何を隠そうiPhone Xなのです。IHSマークイットはiPhone向け薄型ディスプレイの出荷数量も予測していますが、iPhone Xの発売時期に当たる2017年10〜12月期は全体の半分以上を有機ELディスプレイが占めています。「2018年のスマートフォン向け有機ELディスプレイ市場をけん引するのはiPhone Xになるのは確実。ただし、3Dセンサーの歩留まりの問題でiPhone Xの出荷数量が伸びていないことや、顔認証という特殊な操作性を含めて、iPhone Xの売れ行きによって、有機ELディスプレイ市場は相当“暴れる”だろう」(IHSマークイットTechnology シニアディレクターの早瀬宏氏)とのことです。
現在、有機ELディスプレイを供給している主なメーカーは、Samsung Display(以下、サムスン)とLG Display(以下、LG)です。サムスンはスマートフォン向けなどの中小型、LGはテレビ向けなど大型を主力製品にしています。そして、これら2大韓国メーカーに挑もうとしているのは、BOEやVisinoxやEver Disiplayといった中国メーカーです。IHSマークイットの説明には、日本のシャープやジャパンディスプレイ(JDI)、JDI子会社のJOLEDの名前はほとんど出てきませんでした。
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