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有機ELで4つ目の表示デバイス、テレビ生産が変わること変わらないことメイドインジャパンの現場力(10)(1/5 ページ)

パナソニックは2017年5月から有機ELテレビの国内生産を開始した。栃木県宇都宮市にあるパナソニック アプライアンス社 テレビ事業部 モノづくり革新センターで、国内向けと台湾向けのテレビ生産を行う。同時に生産ノウハウを海外拠点に提供し、欧州やマレーシアでの有機ELテレビ生産の立ち上げを支援する。モノづくり革新センターの取り組みを紹介する。

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 “家電の王様”として長らく電機メーカーを支えてきたテレビ。ただ、デジタル化や薄型化などキーデバイスとなる表示デバイスの変遷が進む中で国際競争が激化し、ビジネス面で苦境に立たされる国内メーカーが多くなった。こうした逆境にありながら、ブラウン管テレビから数えて、4つ目の表示デバイスでテレビを生産するようになった工場がある。栃木県宇都宮市にあるパナソニック アプライアンス社 テレビ事業部 モノづくり革新センターである。

 同モノづくり革新センターでは2017年5月から、有機EL(OLED)テレビの生産を開始した。これはブラウン管(CRT)、液晶パネル(LCD)、PDP(プラズマディスプレイパネル)に次ぐ4つ目の表示デバイスを採用したテレビとなる。世界でも4つの表示デバイスを経てテレビを生産し続ける工場はまれである。同モノづくり革新センターの取り組みと強みについて紹介する。

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パナソニック アプライアンス社 モノづくり革新センターの外観(クリックで拡大)

テレビ生産50年の歴史

 同モノづくり革新センターの前身となる宇都宮事業所は、1967年に設立された。以降、継続して50年もテレビの生産に携わってきた。設立から約30年はブラウン管テレビを生産し2001年からは生産拠点集約の流れなどもあり液晶テレビの生産も行うようになった。さらに、2011年からはPDPテレビを生産するなど、これまで主要な表示デバイスのテレビを一通り生産していることになる。これに新たに加わるのが有機ELテレビである。

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モノづくり革新センターでのテレビ生産の歴史(クリックで拡大)出典:パナソニック

 パナソニックでは2017年6月16日から有機ELテレビを販売する計画である。有機ELは自発光型のパネルデバイスで、深い黒の表現と階調表現、色再現性などが特徴だ。パナソニック独自の画像処理エンジン「ヘキサクロマドライブPLUS」を採用した他、最薄部6.7mmの薄型デザインなどが特徴となる。これらの高品質を支えるのが、モノづくり革新センターが抱える高度な生産技術である。

photophoto パナソニックが新たに投入する有機ELテレビ「EZシリーズ」(左)と有機ELテレビの高画質を示すデモ(右)実物の花の中に、花を表示した有機ELテレビを設置。見分けが付かないほどの画質を実現できていることを示した(クリックで拡大)
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