ヤマハ発動機は“自律”と“自立”2台のロボットで二輪車の可能性を切り開く:東京モーターショー 2017(2/2 ページ)
ヤマハ発動機は、「第45回東京モーターショー 2017」において、世界初公開となる参考出展車と技術展示を一挙に6台披露した。中でも、二輪車の可能性を切り開くべく開発を進めている2台の“ロボット”に注目が集まった。
「MOTOBOT」は時速200km超えを達成、「MOTOROiD」は自立して走る
残りの2台は、ヤマハ発動機が、二輪車の可能性を切り開くべく開発を進めている“ロボット”だ。
1台は、「東京モーターショー 2015」で「打倒、バレンティーノ・ロッシ」を掲げて開発スタートを発表した自律ライディングロボット「MOTOBOT(モトボット)」だ。前回発表時の「MOTOBOT Ver.1」から、ロボットの骨格と外殻を炭素繊維強化樹脂にするなどさらにブラッシュアップして「MOTOBOT Ver.2」に進化している。
2017年の開発マイルストーンとして設定したのは「時速200km以上でのサーキット走行」と「バレンティーノ・ロッシとのバトル」。しかし、時速200km以上は達成できたものの、同じサーキットの走行タイムではロッシに大差をつけられ完敗した。柳氏は「それでも、ロッシの背中は見えてきたのではないか」とMOTOBOTの進化ぶりを強調する。
もう1台は、「人とマシンが共響するパーソナルモビリティ」を目指す概念検証実験機「MOTOROiD(モトロイド)」である。MOTOBOTがサーキットにおける中速〜高速走行の“自律”化を目指しているのに対し、MOTOROiDは“自立”しての低速走行が可能になっている。
MOTOROiDが自立走行できるのは「AMCES(Active Mass CEnter control System)」という技術がベースになっている。AMCESは、電動二輪車の車体を電子制御し、安定化させることを目指したヤマハ発動機独自の技術であり、車体をアクティブ制御することにより、常に車両の姿勢を最適に維持し、車両自身で不倒静止・前進することが可能だという。
具体的には、車両のメインフレームに沿ったAMCES軸を回転させて重心をコントロールしている。車両の傾きは、メインフレーム内に組み込まれたIMU(Inertial Measurement Unit)によって検知し、アクチュエータでAMCES軸を回転させる重心のバランスをとっている。
柳氏は「これら2台のロボットに採用した技術を活用して、二輪車の新たな価値を生み出していきたい」と述べている。
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