トヨタのLPGハイブリッドの新型タクシー発売、東京だけで1万台の需要見込む:車両デザイン(2/2 ページ)
トヨタ自動車は、タクシー専用の新型車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」を発売した。1995年に「コンフォート/クラウン コンフォート」をタクシー専用車として投入して以来、22年ぶりの新型タクシーとなる。
現役タクシー運転手の評価は?
会見に合わせて、現役のタクシー運転手による運転でジャパンタクシーに試乗する機会を得た。運転手は普段は「クラウン」で営業しているという。「ミニバンがベースのようなので、お客さまの乗り心地や静かさがどうかが気になっていた。クラウンには敵わないが、ジャパンタクシーは思った以上に良い。運転するのは2度目で、運転支援システムから警告されるような場面はなかった。より一層周囲に注意することができるので、運転支援がうっとうしいとは思わない」と運転手は感想を述べた。
川鍋氏は、自動運転技術も含めて「タクシーの味方で、運転手を助けるもの」だとし、完全自動運転や無人運転がタクシーを脅かすことはないという見方を示した。「完全自動運転が普及するまではもう少しかかるだろう。ドライバーレスの技術が普及しても、心遣いが求められる場面や観光などで、人間が運転するからこその価値は残ると考えている」(川鍋氏)。
後席の快適性を向上するため、乗客がシートヒーターや後席向けに吹き出すエアコンの風量を調整できるようにした。荷室には、スーツケースを平積みで2個、ゴルフバックを4個収納できるスペースを確保した。バックドアの開閉に必要なスペースは560mmとし、狭い場所でも積み下ろし可能だ。
外観は、一目でタクシーだと分かり街と調和するデザインとした他、ボディーカラーは日本を象徴する色だという「深藍(こいあい)」を新開発。会見に出席したトヨタ自動車 社長の豊田章男氏は「どこの国のどの街も、景色をつくるのはタクシーだ」とコメントし、ジャパンタクシーによって日本の街並みを美しく統一することを狙いとしている。
車線ごとの渋滞状況がリアルタイムに分かる
同日付で、タクシー業界と協力した新サービスも発表した。トヨタ自動車と全国ハイヤー・タクシー連合会が2017年4月から進めている実証実験の成果を生かし、車線ごとの渋滞情報をスマートフォン用のナビゲーションアプリに配信するサービスを2018年春から開始する。
都内の500台のタクシーに装着した通信型ドライブレコーダー「TransLog(トランスログ)」から走行中の画像や車両データを収集、地図上に反映させて人工知能(AI)で解析した結果をナビゲーションアプリに車線単位での混雑状況として配信する。川鍋氏は「(500台は少ないかもしれないが)タクシーは昼夜を問わず稼働し、乗用車の7倍は走る。タクシーから得られる情報量は多い」と説明した。
情報提供エリアは東京都心部に限られるが、地域拡大や利用できる端末の拡充も検討していく。今後は、道路工事での車線規制や、道路に面した駐車場の満空情報も抽出できるよう、開発を進めている。
関連記事
- 「ライドシェア」はタクシーの敵? 普及でクルマは売れなくなるのか
聞いたことはあるけれど、正確に知っているかといわれると自信がない……。クルマに関する“いまさら聞けないあの話”を識者が解説します。第3回は、世界各地で普及が進んでいるものの、日本国内では利便性を実感しにくい「ライドシェア」です。 - トヨタの次世代タクシーはLPGハイブリッド採用、現行のLPGタクシーを代替
トヨタ自動車は2017年度内に発売を予定している次世代タクシーの概要を発表。「東京モーターショー2013」で披露したコンセプトカー「JPN TAXI Concept」がベースになっており、新開発のLPGハイブリッドシステムを搭載する予定だ。 - トヨタが自動運転タクシーを開発へ、「タクシーの日」に協業発表
トヨタ自動車と全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)は、“未来の日本のタクシー”の開発/導入に向けた協業を検討するための覚書を締結した。大正元年に日本で初めてタクシーが走った日として「タクシーの日」になっている8月5日に合わせて発表した。 - 「タクシー業界も自動運転受け入れて」、日の丸交通とZMPが無人運転に乗り出す
ZMPと日の丸交通は、無人運転タクシーの実用化に向けた研究会を立ち上げた。2020年に本格営業を開始する目標だ。営業スタートまでに法規制や料金体系、営業エリアについて議論を進める。両社以外にも、タクシー業界に幅広く参加を呼び掛けていく。 - ロボットタクシー設立の理由は「自動運転のレベル4で先駆けたい」
ソーシャルゲーム大手のディー・エヌ・エー(DeNA)と「ロボットタクシー株式会社」を設立するZMP。「人とくるまのテクノロジー展2015」のZMPブースで、同社社長の谷口恒氏に、ロボットタクシーに取り組む理由について聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.