「Xeon」とFPGAをシームレスに連携、「インテルPAC」でソフト開発が容易に:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
インテルがFPGAユーザー向けのイベント「インテルFPGAテクノロジー・デイ」を開催。サーバ向けプロセッサ「Xeon」とFPGAがシームレスに動作する「インテル プログラマブル・アクセラレーション・カード(PAC)」を国内向けに初披露した。
クラウドでの採用が広がるFPGA
現在、FPGAが市場を大きく動かしているのはクラウドやデータセンターの分野だ。CPUやGPUだけでは処理しきれないワークロード(処理負荷)を、FPGAが柔軟かつ効率よく処理できることから、大手のクラウドベンダーがこぞって採用に動いているのだ。ラマン氏の講演でも、マイクロソフト(Microsoft)、アリババ(Alibaba)、ZTEなどの名前が挙がった。インテルFPGAの競合であるザイリンクスも、AWSや百度(Baidu)の採用を発表している。
このように従来とは異なるユーザーがFPGAの利用に踏み出していることから、Xeonを搭載するサーバに組み込んで利用するFPGAボード製品として投入されるのがインテルPACだ。2017年10月からサンプル出荷を始めたが、日本国内でお披露目するのは今回が初となる。
インテルPACの最大の特徴は、一般的なソフトウェア開発環境によって、XeonとFPGAを組み合わせたデータ処理のプログラミングを行えるようにした「インテル・アクセラレーション・スタック」に対応していることだ。「一般のソフトウェア開発者にFPGAを啓蒙(けいもう)していく上で、重要な役割を果たすことになるだろう」(インテル米国本社 プログラマブル・ソリューションズ事業本部 Xeon + FPGA シニアマネージャーのデービッド・マンデイ氏)という。
ミッドレンジFPGAである「Arria 10 GX」を搭載するインテルPACは、2018年前半から量産出荷を始める予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ミッドレンジFPGAでディープラーニング、NVIDIA「Tesla M4」以上の効率を実現
インテルは、AI(人工知能)に関するプライベートイベント「インテル AI Day」の展示会場において旧AlteraのFPGA製品を用いたAIのデモを行った。ミッドレンジFPGA「Arria 10」を用いたディープラーニングの消費電力当たりの処理速度は、NVIDIAのGPUアクセラレータ「Tesla M4」を用いる場合を上回るという。 - インテルはAIで勝ち残れるのか、脳科学研究から生まれた「Crest」に賭ける
世界最大の半導体企業であるインテルだが、AIやディープラーニングに限ればその存在感は大きいとはいえない。同社は2017年3月にAI製品を開発するAIPGを発足させるなど、AI関連の取り組みを強化している。2017年3月に発足したAI製品事業部の副社長兼CTOを務めるアミール・コスロシャヒ氏に話を聞いた。 - インテルは「データカンパニー」になれるのか、5Gモデムの成功がカギに
インテルは「データに関わるところをエンドツーエンドでカバーする、データカンパニーになる」(インテル 社長の江田麻季子氏)。既に有力な地位を築き上げているクラウド/サーバ分野だけでなく、5G対応モデムICなどのネットワーク分野、IoTのフレームワークにおけるエッジコンピューティング分野を含めて製品開発を強化していく。 - インテルとPFNが協業、「Chainer」のパフォーマンスを大幅に向上へ
Preferred Networksが、同社のディープラーニング向けオープンソースフレームワーク「Chainer」の開発で、インテルと協業すると発表。インテルの汎用インフラ上で、Chainerのパフォーマンスを大幅に向上させるのが目的だ。 - 買収側のインテルをも飲み込むモービルアイが「自動運転をリードする」
インテルは、運転支援システムを開発するイスラエル企業のモービルアイを買収する。買収金額は約153億米ドル(約1兆7500億円)。買収後の事業形態は、インテルの組織にモービルアイを統合するのではなく、イスラエルに本拠を置くモービルアイに、インテルの自動車事業部門を統合することになる。 - インテルアーキテクチャもディープラーニングに有効、「GPUが最適は先入観」
インテルが人工知能(AI)技術や事業、ビジョンについて説明。買収企業の技術を取り入れたAIプラットフォーム「Nervana」により、小から大まで規模に応じてスケーリングさせられるAI技術を提供する。GPUが最適というイメージが強いディープラーニングについても「それは先入観にすぎずインテルアーキテクチャのようなCPUも十分に有効」とした。