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良い案も結果が全て〜課題解決の成果を着実に出すためのポイント“本当に進む”問題解決〜現場のコンサル力で事業を変える(6)(2/2 ページ)

机上の空論になりがちな「問題解決」、それを本当に進めるための“現場のコンサル力”向上のヒントをお届けする本連載。第6回では、有効な解決方法の選択と着実に成果を出すためのヒントをお話しします。

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 これらのポイントを押さえて選択した解決策であれば、少なくとも現実的かつ有効な解決策となっているでしょう。最後は着実な実行です。そして、実行に当たっても3つのポイントがあります。

A.PDCAと柔軟性
B.実行者のやる気
C.最後は業務に

A.PDCAと柔軟性

 プロジェクト管理の観点から、P(Plan:計画)D(Do:実行)C(Check:評価)A(Action:改善)は必須です。

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 古今東西、解決策を考えて実行するだけで十分な成果が出たためしはほとんどないでしょう。問題解決として綿密に計画して実行し、その状況を評価して問題があれば改善するというのは着実な成果を出す上で不可欠です。特にP(計画)では「実行者が実行するだけ」の行動とスケジュールに落とし込み、評価するための定量的な指標まで用意する必要があります。

 次にC(評価)では「どこがうまくいっていないのか、それはなぜか」を確実に確認し、その解決を図る必要があります。場合によってはP(計画)で行った内容では全くうまく機能しなかったということもあるでしょう。その場合は成果が着実に出せるよう、現在の計画にとらわれずに柔軟に改善を行うことが重要です。

B.実行者のやる気

 これは実現できるかどうかによりますが、問題解決を実行する人を「やる気にさせる」(場合によっては「やらざるを得ないようにする」)ことは問題解決策で成果を出す上で非常に有効です。やらされ感で行う行動はどうしてもやっつけ仕事になってしまいます。やはり解決策への理解を十分にしてもらい、できれば人事評価にもつなげることが有効です。

C.最後は業務に

 問題解決策は、初めはどうしても「主業務に加えて行わなければならないこと」になってしまうでしょう。しかしそれをずっと続けるのは実行者全員に負担を感じさせることになってしまいます。特に解決策が中長期に及ぶ場合、その解決策を主業務にとして行えるよう、上司に取り計らっていただくことも重要かと思います。

 このように、分析だけでなく成果を出すまでが問題解決です。多くの場合、問題解決が提案までだと捉えられがちですが、重要なことは「問題が解決される」ことですので、分析に比べて地味なですが、解決策の実行は極めて重要ですので、ぜひ覚えて実践していただきたいと思います。

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 さて、6回にわたって連載してきた「本当に進む問題解決」ですが、いかがでしたでしょうか。私自身もそうですが、どれだけ頭で分かっていてもいざ問題解決に取り組むと、初めのうちはさまざまな阻害要因や不十分な分析で行き詰まってしまうこともあると思います。そういうときにもぜひ諦めず、解決の糸口を探してみてください。そうして実際に問題が解決できた成功体験を積み重ねることこそが皆さんの問題解決能力の向上につながり、皆さんにとって一生の武器になるはずです。たとえ小さな改善でも、“継続は力なり”を信じて実行を続けることで、高いレベルの問題解決を行えるようになることを切に願っています。

筆者プロフィル

株式会社VSN 馬場 秀樹

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2000年にVSNに入社。インフラエンジニアとしていくつものプロジェクトに参画。VSNの“派遣エンジニアがお客さまの問題を発見し、解決する”サービス、「バリューチェーン・イノベーター(以下、VI)」の構想メンバーであり、一流コンサルタントより問題解決手法の教示を受け、多くの問題解決事案に携わる。派遣会社でありながら、担当した事案には、数億円規模の売り上げ向上につながった例も。

現在は、同社「経営イノベーション本部」にて今後の事業の根幹を担うVIをさらに加速させるべく、事業計画の立案や浸透・推進を行う。

株式会社VSN http://www.vsn.co.jp/


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