シーメンスがデジタル戦略を説明「高齢化進む日独でこそデジタル化が力に」:製造業IoT(2/2 ページ)
シーメンス(Siemens)がデジタル戦略を説明。ドイツ本社で取締役 CTOを務めるローランド・ブッシュ氏は「新技術とデジタル化によって、指数関数的な成長や、バリューチェーンの中で最も脆弱な部分の排除など、大きな変革が起きていく」と語った。
「MindSphere」の国内展開も立ち上げ
MindSphereの展開は、さまざまなエコシステムパートナーとともに強力に推進している。MindSphereがうたう“オープン”については「いわゆるオープンソースソフトウェア(OSS)ではない。サードパーティーやデベロッパーに対してMindSphereにアクセスできるAPIの仕様を公開していること、さまざまなクラウドプラットフォームからアクセスできることを“オープン”と捉えている」(ブッシュ氏)という。
日本国内におけるMindSphereの展開は立ち上がったばかりだ。シーメンス日本法人 社長兼CEOの藤田研一氏は「日本国内でも強力なパートナーとともに包括的なエコシステムを構築中だ。2018年にはもっとパートナーが増えているだろう。シーメンスPLMソフトウェアのPLMツール『Teamcenter』をはじめとする製造ITツールとの統合も、もう少し時間はかかるが段階的に進めていくことになるだろう」と説明する。なお、国内パートナーには、パナソニックや電通国際情報サービス、ジェイテクト、ABEJAなどが加わっている。
藤田氏はこの他、デジタルサービスの事例として、発送電ビジネスに関わるデジタル化の事例を紹介した。電力系統インフラのデジタル化では、MindSphereに対応するソフトウェアとして「EnergyIP」を提案しており、発電タービンをモニタリングする「Data Analytics & Application Center(DAAC)コンセプト」や、需要データ、価格データ、発電データなどの社内外のデータから最適な発電計画を行う「Economic Dispatch Model(最適経済運用モデル)」などもあるという。
また、デジタル化を推進する重要な要素として「多層防御をコンセプトとするセキュリティにも力を入れている」(藤田氏)という。
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